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【公演評】雪組『炎のボレロ』

宝塚らしさが香る懐かしの名作に、彩風咲奈のダイナミックなダンスと情熱がほとばしる

さかせがわ猫丸 フリーライター


 雪組公演、ミュージカル・ロマン『炎のボレロ』とネオダイナミック・ショー『Music Revolution! -New Spirit-』が、梅田芸術劇場メインホールで6日まで上演中です。彩風咲奈さんにとって、全国ツアー初主演となる予定でしたが、新型コロナの影響で変更となり、梅田芸術劇場メインホールのみの上演となりました。

 『炎のボレロ』は故柴田侑宏先生の名作で、1988年に星組の日向薫さん主演で初上演。1860年代のメキシコで、家族を殺され復讐に立ちあがった青年貴族を情熱的に描いています。主人公アルベルトを演じる彩風さんは、その長い手足を生かしたダンスと高まる歌唱力で、圧倒的な存在感を放ちました。コロナ禍で演劇界も厳しい状況が続きますが、中止となった全国ツアーのお客様へ思いよ届けとばかりに、雪組生35名のエネルギーが爆発する熱い舞台となりました。

フレッシュかつ堂々とした彩風

拡大『炎のボレロ』 公演から、アルベルト役の彩風咲奈=岸隆子 撮影

 雪組は現在、トップスターに望海風斗さんという大黒柱に支えられていますが、そんな望海さんもすでに退団を発表しています。とてつもなく大きな存在だった望海さんがいなくなったあと、彩風さんの立場は今よりもっと重くなることでしょう。そんな予感が背景となるこの公演。彩風さんがどんな求心力を見せるのかも、注目の的となりました。

――1860年代、フランス軍の支配下にあるメキシコ。年に一度の祭りの日、カザルス侯爵の次男アルベルト(彩風)が、3年ぶりにパナマから帰ってきた。にぎわう街に懐かしさを覚えるアルベルトだったが、突然現れた娘カテリーナ(潤花)に一目で惹かれてしまう。やがてアルベルトはフランスの傀儡政府に抵抗する共和党に迎えられ、復讐の機会をうかがうのだった。

 幕が上がると、真っ暗な舞台の中央には、彩風さんがピンスポットを浴び、真っ白な衣装でポーズをとっています。ゆっくりと顔を隠していた帽子を取り歌い踊り始めると、大輪の花が咲いたよう。10頭身かと思うスタイルに感嘆していると、登場人物が少しずつやってきて群舞へとつながる、宝塚らしい幕開けにさっそく胸が高鳴ります。手脚の長い彩風さんのダンスは一つひとつのポーズも美しく、宝塚男役の魅力を最大に引き出していると言えるでしょう。これまでは望海さんのサポートに徹する真面目な好青年という印象でしたが、真ん中にふさわしい堂々としたオーラと、フレッシュさで弾けていました。

 アルベルトはフランス軍に弾圧された大農園主カルザス侯爵家の生き残りでした。故郷に帰ってきたのは、一家を破滅に追いやったブラッスール公爵(久城あす)に復讐するためだったのです。彩風さんは浅黒いメイクも精悍ながら、貴族の子息らしい品もなくしていません。内に秘めた影や憎しみもにじませながら、素顔はおおらかで明るいアルベルトをさわやかに演じています。全場面の振付をANJU(安寿ミラ)さんが担当し、ダンサーとしての魅力を引き出しているのも見どころとなりました。

◆公演情報◆
ミュージカル・ロマン『炎のボレロ』
ネオダイナミック・ショー『Music Revolution! -New Spirit-』
2020年8月29日(土)~9月6日(日)  梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ
[スタッフ]
『炎のボレロ』
作/柴田 侑宏
演出/中村 暁
『Music Revolution! -New Spirit-』
作・演出/中村 一徳

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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