「ベネチアが女性監督作品を多く選べて幸せです」
2020年09月14日
欧州で早くから新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大に苦しんだイタリア。水の都ベネチアも、カーニバルやビエンナーレの建築展など世界的な名声を誇る大型イベントの中止や延期に見舞われた。
しかし、カンヌ、ベルリンに並ぶ世界三大映画祭のひとつのベネチアは、世界の有力映画祭が次々と中止を決めるなか、開催の道を選び取った。
バルベラ 確かに簡単な決定ではありませんでした。世界的な感染状況を注視しながら、ぎりぎりまで悩み続けました。結局、決定を下せたのは6月半ば。しかし、実現するからには、恥ずべき映画祭にはしないと決めていました。つまり、人々が実際に参加できる映画祭の実現を、はなから目指していたのです。
映画祭とは人々が出会い、エモーションを分かち合い、意見や視点を交換できる場所。ですから、インターネット上での開催は意味がない。実際、そのような映画祭も存在しますが、結果は残念なものだったと思います。ネット上だけで作品を支え、有効なプロモーションをすることは難しい。監督にとっても観客にとっても、いつものベネチアのやり方で映画祭を実現することが大切だと考えました。
ある程度の行動制限は受け入れながらも、映画祭で体験できる本質的な経験はしっかり守る。人々がベネチアに集うことを喜び、オプティミストでいることが大事です。安全性は確保しながら、またもとの映画祭が再開できるということを強く世界に訴えたい。それは不可能なことではないのだと。
コロナ禍で世界的に映画産業全体が打撃を受けています。これ以上動きを止めてしまうことはできません。映画祭を再開することが、映画にとって必要なことです。
――様々なコロナ対策を実施されていますが、ベネチアが特別に始めた工夫などありますか。
バルベラ 衛生対策に関して特に新しいものはないです。もともと政府や地域が求めていることに沿ったまでで、映画祭が特別に提案することはありませんでした。来場者のチェックポイントを設け、検温などのコントロールを実施しましたが、いったんエリア内に入場すれば、映画上映、記者会見、フォトコールなど、ほぼいつもの映画祭の儀式が体験できるのです。もちろんマスクを装着し、ソーシャル・ディスタンスを確保しなければなりませんが。
ただし、(監督や俳優が歩く)「レッドカーペット」は実施しますが、
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