メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

菅義偉政権の誕生から、日本型のファシズムを考えた

民主主義に住みついたその正体

三島憲一 大阪大学名誉教授(ドイツ哲学、現代ドイツ政治)

 安倍晋三が退陣した。本当の理由はよくわからない。モリカケからサクラまで、アベノマスクから電通によるナカヌキまで徹底したウソとゴマカシに貫かれた政権運営の結果だから、表向きの理由もにわかには信じがたい。

 コロナ対応で無能ぶりが明らかになり、世論の信頼を失ったためだという説も流れている。しかし、無能の人は、自らの無能には気づいていないのが普通だから、そうとも思えない。真相は闇の中だ。

 いずれにしても「安倍政治を許さない!」という標語の下に悪口を言ってきた人々は喜んだ。逆転満塁ホームラン並みに喜んだ。私も退陣発表の翌日に野外レストランで友人とコロナ対策の距離を厳重に取りながら、デモの日々を振り返ってささやかにグラスをあげたものだ。

安倍首相の退陣を求める横断幕を掲げ、繁華街を歩くデモ参加者=2020年1月12日午後1時59分、名古屋市中区、202001拡大安倍政権時代、首相退陣を求めるデモは全国各地でおこなわれた=2020年1月、名古屋市中区

 だが、2杯目のグラスをあげるにあたって、そこにいた4人全員の目に暗い影がさしたのがマスクをしていてもわかった。「わ〜っ、気持ち悪い」「もっと悪くなる」と。新聞辞令の出る前だったが、菅義偉官房長官が後任に予想されたからだ。政界事情には疎い我々でもそのくらいの推測は可能だ。私の推測の根拠は、その晩にも口走ったが、「アベはファシズムのピエロだが、スガは根っからの“ファシスト”だ」というものだ。

 え〜っ? なんだって? ファシズムって戦争中の話じゃないか? いくらなんでもそれは無謀な形容だよ?と言われそうだ。いやいやそうじゃない。以下にその理由を手短に述べてみたい。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

三島憲一

三島憲一(みしま・けんいち) 大阪大学名誉教授(ドイツ哲学、現代ドイツ政治)

大阪大学名誉教授。博士。1942年生まれ。専攻はドイツ哲学、現代ドイツ政治の思想史的検討。著書に『ニーチェ以後 思想史の呪縛を超えて』『現代ドイツ 統一後の知的軌跡』『戦後ドイツ その知的歴史』、訳書にユルゲン・ハーバーマス『近代未完のプロジェクト』など。1987年、フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞受賞、2001年、オイゲン・ウント・イルゼ・ザイボルト賞受賞。