丸川哲史(まるかわ・てつし) 明治大学教授
1963年和歌山県生まれ。明治大学政治経済学部/同大学大学院教養デザイン研究科教授。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。専攻は東アジアの思想・文化。著書に『台湾、ポストコロニアルの身体』(青土社)、『中国ナショナリズム――もう一つの近代を読む』(法律文化社)、訳書に汪暉著『世界史のなかの世界――文明の対話、政治の終焉、システムを越えた社会』(青土社)など多数。
子どもはどんな状況であれ、血の繋がった家族内部でだけで存在できない
さて、本書の別のメリットとして、映像作品では十分伝えられなかった期間のこぼれ話もかなり魅力的である(これは既に映画を観られた方にとって大きい)。穂子氏と土氏は、彼が小学生低学年の時期に、東京の「沈没ハウス」を出て、八丈島に移住、穂子氏は当地で現在に至るまで様々な社会活動を行っているが、その期間の経緯が書かれている。
土氏は移住の当初、他所から来た新参者として、「いじめ」を受けていたそうである。友だちもできず、学校から帰っていつも一人で遊んでいたのだが、ある日を境にして
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