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菅首相の「女性活躍させる気なし」がバレバレで超絶望

メインストリームにない視点が、「縦割り」「既得権益」「前例主義」を動かしていく

矢部万紀子 コラムニスト

 菅義偉さんが日本の総理大臣になり、菅内閣がスタートした。女性活躍担当大臣は、安倍晋三内閣から再任された橋本聖子さんが担当する。でも橋本さんは、「五輪担当大臣」と紹介されることが多い。まあ、どう考えてもメインはそっちだ。そうそう「1億総活躍担当大臣」というポストもあって、初入閣の坂本哲志さんという人がなった。坂本さんは「男性活躍」を担うのだろうか。

 などと書いたのは、あてこすりだ。菅首相に絶望してるから、あてこすった。彼の元では、女性が活躍する社会は絶対に来ない。選択的夫婦別姓制度など、私が生きている間には絶対実現しない。そう確信した。59歳の私が平均寿命(2019年=女性87.45歳)まで生きるなら、あと28年。あー、もう無理無理、絶対無理。それくらい絶望している。

菅義偉新首相(前列中央)と閣僚たち菅内閣で女性閣僚は2人だけ

 9月12日、日本記者クラブでの「自民党総裁選立候補者討論会」をテレビ中継で見た。「女性活躍社会」は2度話題になり、3人の考えがわかった。結論から言うと、石破茂さんが3人の中で一番ちゃんと考えていた。続いて、すっごく差があるが岸田文雄さん。最後がこれまたすっごく差があって菅さんで、ほぼ何も考えてなかった。で、考えてない人の圧勝。政策より派閥。わかっていたけれど、力が抜ける。

 まあ、この問題に限らず、「負けを覚悟の挑戦者」と「次につなげるための人」と「黙ってても勝てる人」だ。挑戦者は先鋭的になり、次につなげる人は優等生的になるし、勝てる人は文字通り黙っているのが何よりだ。という構図は理解しているが、それにしても、菅さんの女性活躍論はひどかった。

ただ読んでいるから間違う

「負けを覚悟の挑戦者」と「黙ってても勝てる人」と「次につなげるための人」「負けを覚悟の挑戦者」と「黙ってても勝てる人」と「次につなげるための人」が戦った自民党総裁選

 順に説明するなら、石破さんの考えの基本は「女性の持っている力を最大限引き出していかないと、この国に持続可能性はない」だった。では、どうするか。なぜ女性が活躍できないか、いくら男性が考えたってわからない、女性に聞こうよ、と言っていた。しごく真っ当な意見だと思う。

 岸田さんは、女性が活躍するための条件整備には三つのポイントがあると言い切った。お、なになに、と待っていると、こうだった。「一つ目は女性のみなさんの健康増進、促進。二つ目は男性の協力、三つ目は育児の環境整備。これが重要なポイントです」。

 え――、最初が健康増進?? うーん、大切だけど、いいんだけど、でもなんか違う。「?」でいっぱいになっていたら、日本の女性の検診率が低いという話、乳がん、子宮がん検診への公的助成の話に。えーっと、岸田くん、それも悪くないけどね。自信たっぷりの優等生を前に、戸惑う教師の気持ちになった。

 で、この日の討論会のルール(詳述はしない)により、女性活躍について石破さんと岸田さんは2回ずつ語り、菅さんは1回だった。菅さん唯一の意見表明は、「202030」が未達成のまま先延ばしになったが、どうすれば目標を達成できると思うか。そういう記者の問いかけへの答えだった。

 ちなみにだが、202030とは「2020年までに指導的地位における女性の割合を30%にする」という目標で、03年の小泉政権下に決められた。「指導的地位」の中には国会議員も含まれるが、達成できていない。女性に一定数を割り当てるクオータ制などを用いないと達成は難しいという指摘もある。質問者はそう付け足した。

 菅さんはまず、こう言った。「あのー、安倍政権は女性の活躍できる社会、そうしたことを掲げているのは事実であります。その中でアベノミクスによって雇用を400人増やすことができた。そのうち330人ほどが女性の方なんです」。

 400人は多分、400万人の間違いだろう。たった400人では、アベノマスクより小さくなってしまう(嫌味です)。間違いはかまわない。誰にだって間違いはある。人間だもの。だけどダメなのは、

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