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「在原業平の恋と和歌」 恋愛小説の名手・髙樹のぶ子と歌人・小島ゆかりが対談

10月2日に論座・ハルメク主催でオンラインイベント

丸山あかね ライター

 新型コロナウイルス感染症対策による自粛中の5月13日に発売された高樹のぶ子さんの最新作『小説 伊勢物語 業平』(日本経済出版)に注目が集まっています。

 本離れと言われる中、458ページという大作であり、2420円と決して安くはない価格であるにもかかわらず、重版の勢いが止まりません。恋愛の指南書としてのみならず、生き方や人間関係を学べる教育書としての評価も高く、今年の夏には東京の開成中学でテキストに活用されました。

恋多き男在原業平の一代記

『小説 伊勢物語 業平』(日本経済新聞出版)
 古典「伊勢物語」は、和歌を中心に125章段で構成された愛の歌物語。「むかし男、ありけり」と始まる物語の主人公は在原業平であるという説が有力ですが、その実、詠みこまれている歌の中には、明らかに業平作ではないものも含まれており、一行と和歌だけの段があるなど、なかなかに難解です。

 『小説 伊勢物語 業平』では、業平の歌だけを抽出。15歳で元服してから56歳で人生の幕を下ろすまでを、時系列で並べました。かくして、阿呆親王を父に持つ、雅で当代きっての美男子として広く知られる在原業平の一代記が誕生しました。

 初々しい恋、華やかな恋、艶めいた恋、奔放な恋、切ない恋、憐れな恋、禁断の恋……。

 光源氏のモデルとも言われる業平の華麗な生涯が、そして母への愛、友情、主従間の信頼関係など多義に渡る愛の形が、日常生活を通してリアルに描かれています。これこそが古典の枠を超え、多くの読者をひきつける理由だといえるでしょう。

歌人・小島ゆかりさんとのオンラインで対談

 10月2日、髙樹のぶ子さんと歌人の小島ゆかりさんのスペシャル対談がオンラインにてライブ配信されます。題して「在原業平の恋と和歌」。

 それに先駆け、お二人に対談に向けての想いを聞きました。

◇高樹のぶ子さん・小島ゆかりさん公開対談
「在原業平の恋と和歌」
(主催:論座 ハルメク/協力:日経BP 日本経済新聞出版本部)
・開催日時 10月2日(金)14時30分~16時
・講座番号 ①書籍なし 1076-030-904
      ②書籍付  1076-040-904
・参加費用 ①書籍なし 2500円
      ②書籍付  3900円
・講座形式 オンライン講演会・ライブ配信
・締め切り 9月29日
・申し込み ハルメクお客様センター
      TEL 0120-86-1094 時間9時~19時(日・祝日除く)
      FAX 0120-03-8618 24時間受付

髙樹のぶ子さん「古典の素晴らしさを伝えたい」

髙樹のぶ子さん=撮影・富本真之

 私は小島さんの作る歌の大ファンなのです。その小島さんが『小説 伊勢物語 業平』に出てくる和歌の解釈について褒めてくださって、天にも昇る気持ちでした。「いつか一緒にイベントをしたいね」と話していたところ、対談することになり、嬉しくてたまりません。

 『和歌で楽しむ源氏物語―女はいかに生きたのか』(角川短歌ライブラリー)を出版している小島さんは、和歌を丁寧に読み解き、ストーリーを追うだけでは見えてこない登場人物の心の襞(ひだ)を明らかにするという作業の先輩でもあります。古典に触れることの楽しさと難しさ、「伊勢物語」と「源氏物語」の違い、在原業平の魅力について、平安時代の恋愛作法と今日の恋愛について検証し、それぞれの良い点と悪い点を検証するなど、お話ししたいことがたくさんあります。

 業平の歌の中でどれが好きかを、お互いに選んでその理由を語り合ったり、業平の女性のアプローチの中でどの場面が一番グッとくるかについても話したい。お互いの恋愛観が浮き彫りになり、面白いのではないでしょうか。そして、最終的には古典の素晴らしさを伝えたいと考えています。どうぞお気楽にご参加ください。

髙樹のぶ子 たかぎ・のぶこ
1946年、山口県生まれ。80年『その細き道』で作家デビュー。84『光抱く友よ』で芥川賞、94年『蔦燃』で島清恋愛文学賞、95年『水脈』で女流文学賞、99年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨文部科学大臣賞、2010年『トモスイ』で川端康成文学賞受賞。芥川賞をはじめ多くの文学賞の選考にたずさわる。2017年、日本芸術院会員。2018年、文化功労者。ほかの著作に『マイマイ新子』『百年の預言』『甘苦上海』『ほとほと』『明日香さんの霊異記』など多数。09年に紫綬褒章受章。18年に文化功労者に選出。

小島ゆかりさん「平安時代の雅な世界へ誘いたい」

小島ゆかりさん
 『小説 伊勢物語 業平』が大ヒットということで、ついに古典ブーム到来でしょうか? 髙樹さんに会ったら、まず、おめでとうございますとお伝えしたいですね。

 髙樹さんとの交流のきっかけとなったのは2007年の暮れに行われた新聞の対談でした。2008年が源氏物語千年紀にあたるということで、新聞社から「源氏物語」をテーマにした対談の依頼を受けたのです。

 控室から二人で対談会場へ向かいながら、私が「髙樹さん、源氏物語のことをよくご存じなのですよね? 私はあまりよく知らないのでよろしくお願いします」と言ったら、髙樹さんは「やめて、やめて。私、小島さんが詳しいからお任せすればいいと思っていたの」とおっしゃって、二人で「困った、困った」「どうしましょう!」と(笑)。

 そんなわけで最初から気取らないおつきあいをさせていただいていますので、今回の対談もざっくばらんなものとなるでしょう。女同士、どんな話が飛び出すことやら。「伊勢物語」に出てくる和歌の解説を忘れて、業平のイケメンぶりに終始してしまわないように注意しなければいけませんね。

 それにしても、ストーリーがきちんとある「源氏物語」とは違い、短い物語がポンポンポンポンと続く「伊勢物語」をシャッフルし、時間軸を通して再構成し、そうして小説に作り上げるというのは気の遠くなるような作業だったはずで。髙樹さんがどのようにして取り組んでいかれたのか、その工程に物凄く興味があります。

 和歌をきちんと把握するためには、作者が言葉にしていない部分をどう読み取るかが重要なポイントとなるのですが、髙樹さんはムラムラと広がる豊かな想像力でクリアなさり、小説家の底力をまざまざと見せつけられた気がします。

 いろいろな意味で刺激的で楽しい対談になりそうです。充実した時間を一人でも多くの方と共有したい。そして、みなさまを平安時代の雅な世界へと誘うことができたらいいなと思っています。

小島ゆかり こじま・ゆかり
1956年、愛知県生まれ。早稲田大学在学中に「コスモス」入会。歌集に『水陽炎』『月光公園』『ヘブライ暦』(第7回河野愛子賞受賞)『希望』(第5回若山牧水生受賞)『獅子座流星群』『エトピリカ』『憂春』(第40回迢空賞受賞)『純白光 短歌日記2012』(第6回小野市詩歌文学賞、第7回日本一行詩大賞受賞)『泥と青葉』ほか。17年に紫綬褒章受章。産経新聞などで歌壇の選者を務める。青山学院女子短期大学講師。全国高校生短歌大会特別審査員。
◇高樹のぶ子さん・小島ゆかりさん公開対談
 「在原業平の恋と和歌」
 (主催:論座 ハルメク/協力:日経BP 日本経済新聞出版本部)

・開催日時 10月2日(金)14時30分~16時
・講座番号 ①書籍なし 1076-030-904
      ②書籍付  1076-040-904
・参加費用 ①書籍なし 2500円
      ②書籍付  3900円
・講座形式 オンライン講演会・ライブ配信
・締め切り 9月29日
・申し込み ハルメクお客様センター
     TEL 0120-86-1094 時間9時~19時(日・祝日除く)
     FAX 0120-03-8618 24時間受付