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自死を考える生まじめな若い人たちへ――BTSも感じた絶望と孤独のなかで

香山リカ 精神科医、立教大学現代心理学部教授

 今年になって、役者として活躍してきた芸能人が自ら命を絶つという報道が相次いでいる。いや、相次いでいるとはいえ、何十人にもなるわけではない。ただ、長年、テレビや映画で目にし、その役柄やインタビューから垣間見える人柄に共感したり親しみを持ったりすることの多い芸能人の場合、突然の自らの手による死は、想像以上に多くの人たちにショックを与えることになる。

 自死を選ぶのは芸能人だけではない。先ごろ警察庁が発表したデータによると、今年8月の1か月間に自殺した人は全国で1854人で、去年の同じ時期に比べて251人、16%増加したのだという。

 さらにその内訳を見ると、男性は去年より6%増で女性は40%増、とくに30代以下の女性は、1か月間に193人が亡くなり、これは去年の同時期より74%増なのだという。

 この結果を見ると、誰もが「新型コロナウイルスの影響」を考えるだろう。ある専門家は、「非常勤雇用で働くことが多い若い女性は、新型コロナウイルスの影響で勤務先の業績が悪化するとすぐに解雇されやすい」と、その原因を分析していた。

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 たしかに、経済的な問題は重要な自殺の原因である。昨年(2019年)1年間の自殺者は2万169人で原因・動機が明らかなものを人数順にあげると、「健康問題(9861人)」「経済・生活問題(3395人)」「家庭問題(3039人)」「勤務問題(1949人)」となっている(「令和元年中における自殺の状況 」、厚労省・警察庁)。

 ただ、経済的困難に直面しているのは、なにも若い女性だけではないだろう。とくに観光、飲食、小売業などの店舗や会社を経営する男性を多く含む中高年の中にも、この苦境にあえいでいる人は多くいるのではないかと思われる。

 なぜいま、若い女性たち、また華やかなスポットライトを浴びてきた役者や芸能人たちが、自らの手で人生を終わらせようとしているのだろうか。ここから先の話は、精神科医としてというより、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を仕事や生活の中で実感しているひとりの人間としての考察と考えてほしい。

気持ちが内へ、内へと向かっていく女性たち

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 診察室の中でも、芸能人の自死を話題にする人たちがいる。いまの時点では、その人たちはすべて女性である。それぞれの病状についてくわしく話すわけにはいかないが、いずれも生まじめな性格で、それゆえに家庭や職場のストレスを真正面から受けてしまい、うつ病や適応障害で通院している人たちだ。彼女たちは「〇〇さん、亡くなってしまいましたね」と語り、そのあと判で押したようにこう続ける。

 「どうして私は生きているんでしょうね。私の方がずっと価値のない人間なのに」

 彼女たちは

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