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『ビリー・エリオット』はコロナ禍の演劇界の希望になれるか

プロデューサーがつづる公演の歩み①

梶山裕三 ホリプロ ファクトリー部副部長

大成功だった日本初演

 『ビリー』の日本初演は、2017年の夏、東京と大阪で計126公演が上演され、合計16万人を動員する大ヒットとなった。

拡大『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』上演関係者一同が2017年度の菊田一夫演劇大賞を受賞した=2018年4月の授賞式
 世界的ヒットメーカー・エルトン・ジョンによる素晴らしい音楽、原作となった映画『リトル・ダンサー』の監督スティーブン・ダルドリー自身による斬新な演出もさることながら、この作品が大ヒットした最大の要因は、主役のビリーを演じた5人の子供たちの圧倒的なパフォーマンスであった。

 作品を日本で上演することを発表した当初は「日本でビリー役を演じられる少年が見つかるわけがない」という声がほとんどであった。ビリーを演じるにはバレエ、タップ、器械体操、歌、芝居など、あらゆる技術が求められるからだ。しかし、全国オーディションで選ばれた5人のビリーたちは見事にその評判を覆し、連日連夜、満員の観客を魅了したのだった。

 『ビリー・エリオット』は、炭鉱夫の息子として生まれた少年ビリーが、バレエと出会い、その魅力にとりつかれ、町が炭鉱ストライキで揺れるなか、バレエダンサーになる夢を叶えていくという物語だ。オーディションを経て、ビリー役を演じるための厳しいレッスンを続け、ビリーとして舞台に立つ少年たちの姿が、物語のなかで夢を追いかけるビリーと重なり、観客は少年たちのいつわりのない姿に感動せずにはいられないのである。

 大成功を収めた作品は、数年後に再演を検討することが多い。

 『ビリー』は数々の演劇賞をいただき、たくさんのファンを獲得したため、初演の直後に再演が決まった。通常、成功した舞台の再演では主役が続投することが多いが、『ビリー』では、主役を演じるのが声変わり前の少年でなければならないため、続投はできない。つまりビリーを演じられるチャンスは人生にたった一度きりなのだ。そこが、ビリーがファンを熱狂させる魅力にもつながっている。

 主催4社(TBS、ホリプロ、梅田芸術劇場、WOWOW)で協議の結果、再演は3年後、東京オリンピックが開かれる2020年の夏に決定。初演で、日本にも才能ある少年たちがいることが証明されたため、再演ではどんな才能ある少年に出会えるか、非常に楽しみであった。

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筆者

梶山裕三

梶山裕三(かじやま・ゆうぞう) ホリプロ ファクトリー部副部長

1978年名古屋市生まれ。早稲田大学在学中、ミュージカル研究会でオリジナルミュージカル創りに没頭し、卒業後は舞台制作者を志す。2001年吉本興業に入社。「よしもと新喜劇」の制作などを経験した後、06年ホリプロに入社。多くの舞台のプロデュースを手掛ける。近年は「日本から世界へ発信する」との目標を掲げてオリジナルミュージカルに取り組み、15年初演「デスノート THE MUSICAL」は、日本で大ヒットした後、韓国人キャストによる韓国公演も実現、ホリプロ作品として初の海外ライセンス上演を果たした。18年には黒澤明監督の代表作「生きる」を世界で初めてミュージカル化。20年10~11月に東京、富山、兵庫、福岡、愛知で再演される。

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