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『ビリー・エリオット』はコロナ禍の演劇界の希望になれるか

プロデューサーがつづる公演の歩み①

梶山裕三 ホリプロ ファクトリー部副部長

動き出した再演計画、候補者は1511人

拡大全国に配布した出演者募集のチラシ
 再演のオーディションの告知をしたのは、2018年の12月。主役のビリーと、その友だちで重要な役割を担うマイケルを演じる少年を大々的に募集した。

 全国のダンススクールへのチラシ配布、全国各地で行われるバレエコンクールの会場に足を運んでの勧誘、ウェブ広告の出稿などを積み重ねた結果、初演時よりも多い1511人の応募者が集まった。志望動機に、「初演のビリーを観て、バレエを習い始めた」と書いている子がたくさんいたのは、嬉しい驚きだった。

 2019年4月、書類審査を通過した約300人を対象に二次オーディションが行われた。

 ロンドンから来日した演出補のサイモン・ポラード氏が一人一人の個性を確かめながら、候補者を慎重に選抜し、ビリーは12人、マイケルは14人に絞り込まれた。選ばれた26人は6月に行われる次のオーディションまでに、ビリー候補にはバレエ、タップ、器械体操のレッスンを、マイケル候補にはタップのレッスンを受けてもらうことになる。

 『ビリー』ではレッスンをしながらオーディションでその過程を確かめていく育成型オーディションの方法を取る。長期間にわたるオーディションを実施することで、レッスンに取り組む姿勢や、成長のスピード、仲間とのコミュニケーション能力など、さまざまなことが見えてくる。

 6月の第三次オーディションには、サイモン・ポラード氏のほかに、オーストラリアから振付補のトム・ホッジソン氏と、音楽監督のスティーブン・エイモス氏が来日した。彼らは日本の初演のビリー以外にも、韓国やオーストラリアでもビリーを成功に導いたクリエイティブチームで、『ビリー』を上演する「要の3人」だ。

 『ビリー』は、海外と全く同じ演出で上演される、いわゆる「レプリカ作品」のため、この3人の海外チームが作品に関してすべての権限を持つ。

 日本初演時、この3人をそれぞれサポートするために日本人による芝居チーム、ダンスチーム、音楽チームが結成された。オーディションが終わり、海外チームが帰国したあとは、次のオーディションまで、この日本人チームが子供たちの指導にあたり、それぞれの子供にあわせたカリキュラムを組み、指導をしていく。

 初演時、この協力体制が見事に機能し、海外チームと日本人チームの信頼関係が築けたことが、今年の再演の実現につながることになった。

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筆者

梶山裕三

梶山裕三(かじやま・ゆうぞう) ホリプロ ファクトリー部副部長

1978年名古屋市生まれ。早稲田大学在学中、ミュージカル研究会でオリジナルミュージカル創りに没頭し、卒業後は舞台制作者を志す。2001年吉本興業に入社。「よしもと新喜劇」の制作などを経験した後、06年ホリプロに入社。多くの舞台のプロデュースを手掛ける。近年は「日本から世界へ発信する」との目標を掲げてオリジナルミュージカルに取り組み、15年初演「デスノート THE MUSICAL」は、日本で大ヒットした後、韓国人キャストによる韓国公演も実現、ホリプロ作品として初の海外ライセンス上演を果たした。18年には黒澤明監督の代表作「生きる」を世界で初めてミュージカル化。20年10~11月に東京、富山、兵庫、福岡、愛知で再演される。

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