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『獣道一直線!!!』に出演、池田成志インタビュー/上

生瀬勝久、古田新太と共に結成したユニット“ねずみの三銃士”第四回企画公演

大原薫 演劇ライター


 “ねずみの三銃士”第四回企画公演『獣道一直線!!!』がPARCO劇場オープニング・シリーズとして6日から上演している。

 ねずみの三銃士は生瀬勝久、池田成志、古田新太が「今、一番やりたい芝居を、自分たちの企画で上演したい」という思いで結成された演劇ユニット。

 第一回は2004年の『鈍獣』。2009年『印獣』、2014年『万獣こわい』と続き、今回が第四回。第一回公演より脚本を担当している宮藤官九郎が今回は出演としても初参加。演出はこれまで同様、河原雅彦が手掛ける。

一一面識もない独身男性三人が次々と殺害される。無関係と思われた三人は同じ婚活サイトに登録していたことがわかる。ドキュメンタリー作家が事件を取材し続けるうちに、一人の女性の存在が浮かび上がる。「なんでこんな女に騙されるのか」となおも取材を続けるうちに、作家自身も事件の闇に取り込まれていく……。

 三人の独身男性のうちの一人を演じる池田成志。圧倒的な演技力で観るものを惹きつけ、数々の舞台、映像で活躍する池田に話を聞いた。

センチメンタルを排除した脚本には乱暴なエネルギーが必要

拡大池田成志=阿部章仁 撮影

――宮藤官九郎さんが書かれた『獣道一直線!!!』脚本を読ませていただきましたが、池田さんが最初に手にしたとき「宮藤すごいな!」と思ってゲラゲラ笑いながら読んだというのがよくわかりました。

 読むと面白いですが、そこが曲者ですよね。本番は何度も演じないといけないし、お客様の頭の中にも、「男の人たちは、なんであんな女に騙されちゃうんだろう」というのが頭によぎると思う。僕ら(生瀬、池田、古田)は騙される男でもあり、その男たちを演じている男という二重構造の仕掛けもあって。「なんであんな女に騙されるのか」という得体の知れなさまでたどりつければいいんだけど、僕たちが面白に走ってしまうという悪い癖があるので、(本番で)そこまでたどりつけなかったらどうしようというのが心配です(筆者注・稽古期間中に取材)。僕は基本的に性格が暗いので「大丈夫かな」と思ってしまいますね。

――実際に、「なんで騙されるのだろう?」と疑問に思うような事件がありますよね。

 そういう事件を調べると、(騙した張本人の)バックグラウンドが普通なんですって。普通のお父さんとお母さんの間に生まれて、取り立てていじめられた経験もない。騙された人が「あの人は人を騙すような人じゃないです」と言ったりするそうです。『獣道一直線!!!』は、実は僕らの周りにもそんな人がいるんじゃないかと思えるところまで行けたらと思うんですが。

――脚本から非常に猥雑なパワーが伝わってきます。

 宮藤くんは、コロナ禍の中で「みんながつながろう」「前向きに生きよう」というムードを払しょくしたいという気持ちで書いているのかもしれない。それで、事件に対するセンチメンタルな部分をなるべく排除して、わざと乱暴に、人の琴線に触れさせないようにしているんじゃないかな。でも、それにはある乱暴なエネルギーが必要になってくるから。ギャグもいいけれど、長いスパンでシーンをつないでいって「そこに何かがある」という発見が早くしたいですね。そうしないとあまり怖い話にならないと思うので。

◆公演情報◆
PARCO劇場オープニング・シリーズ
“ねずみの三銃士”第 4 回企画公演『獣道一直線!!!』
東京:2020年10月6日(火)~11月1日(日) PARCO劇場
長野:2020年11月5日(木)~11月8日(火) まつもと市民芸術館
北海道:2020年11月13日(金)~11月15日(日・祝) カナモトホール(札幌市民ホール)
京都:2020年11月19日(木)~11月23日(月・祝) ロームシアター京都 メインホール
福岡:2020年11月27日(金)~11月29日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
高知:2020年12月3日(木)~12月6日(日) 高知県立県民文化ホール オレンジホール
沖縄:2020年12月11日(金)~12月13日(日) アイム・ユニバース てだこホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作:宮藤官九郎
演出:河原雅彦
[出演]
生瀬勝久、池田成志、古田新太
山本美月、池谷のぶえ、宮藤官九郎
 
〈池田成志プロフィル〉
 1982 年「第三舞台」に参加し、俳優活動を始める。つかこうへい、三谷幸喜、デヴィッド・ルヴォー、宮藤官九郎、いのうえひでのり、長塚圭史、前川知大ら、様々な舞台作家・演出家の作品に出演し、信頼と評価を得ている。胡散くさい男、食えない男など、オフビートなキャラクターを得意としながら、予断を持たず様々な作家とジョイントしていく姿勢を貫いている。2013年、イキウメ「獣の柱」および、NODA・MAP「MIWA」での演技が評価され、第48回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。
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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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