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鈴木杏インタビュー/上

野田戯曲×プルカレーテワールドによる新しい『真夏の夜の夢』を

橘涼香 演劇ライター


 2020年、開館30周年を迎えた東京芸術劇場で、野田秀樹潤色、シルヴィウ・プルカレーテ演出の『真夏の夜の夢』が10月15から11月1日まで上演される。

 1992年に野田秀樹潤色・演出で「野田秀樹の真夏の夜の夢」と題して初演されて大きな話題を呼んだ“野田版”『真夏の夜の夢』が、ルーマニア演劇を代表する演出家の一人である、シルヴィウ・プルカレーテの演出という、日本とルーマニアの誇る鬼才同士の初タッグで刺激に満ちた舞台となる。

 そんな作品でシェイクスピアの原作ではヘレナに当たる「そぼろ」を演じる鈴木杏が、来日の叶わない中リモートでの稽古が続くプレカレーテワールドへの期待や、自身の演劇への想いを語ってくれた。

イメージを共有し深めていく豊かな稽古

拡大鈴木杏=岩田えり 撮影

──お稽古たけなわというところですが、そのお稽古が普段とは違う形になっているのですよね?

 今リモートで演出のプルカレーテさんとつないでお稽古をしています。稽古場に二台のカメラがあって、一台で全体の引きを撮り、もう一台で少し寄って、プルカレーテさんはその二台のカメラから私達を見ているという形で進めていて。

──双方向でつながっている訳ですね。

 そうです。まずプルカレーテさんからこのシーンにはこういうイメージを持っている、と提示されたものを皆で共有し、自分たちで動きを考えたり、アイディアを出したものを見て頂きます。そこにプルカレーテさんが細かく要素を加えたり、場面をもっとクリアにできるように変更をしたり、というやりとりをしています。特に野田秀樹さんの戯曲がとても入り組んだ構造になっているので、まずプルカレーテさんがこの戯曲、この作品を最後までどういう世界観で描きたいのか?を役者や、演出補側はできるだけ早めに知りたい。今はとにかくどんどん先の場面に向かって、ブルカレーテさんのイメージをお聞きすることがメインになっています。

──そうしますと、役者さん同士のディスカッションも活発に?

 やっぱり野田さんの戯曲として私達は読んでいて、更にこれまでに感じてきた「野田イズム」みたいなものもあるのですが、それとプルカレーテさんが持っていらっしゃるイメージが「どうやら少し違うらしい!」ということがわかってきていて。なので、両者をどうすり合わせていくか、「今プルさん(プルカレーテ)はどういうことを考えているんだろう?」など、カンパニーの中で話し合っていくことが結構多いです。それはとても面白く、豊かな稽古です。ただ指示されたことをやるだけではなくて、自分たちでもアイディアを出し合い、互いにシェアしていけるのは、今の時期だからこそすごく大事なことなのかなと思っています。

拡大鈴木杏=岩田えり 撮影

──海外の演出家が来日できないから諦めるではなく、ではどうすれば幕を開けられるか?というところに向かって新しい形が生み出されているのは素晴らしいと思いますが、特に鈴木さんは直近の作品『殺意 ストリップショウ』が一人芝居でいらしたので、大勢のカンパニーとのお稽古との違いも?

 稽古場で共演者とふざけるってこういうことだった!と思い出しました(笑)。前の芝居はふざけようがなかったので!(笑)。くだらないことを言い合える仲間がいるって本当にいいなと思っています。

◆公演情報◆
拡大『真夏の世の夢』
東京芸術祭2020 東京芸術劇場30周年記念公演
『真夏の夜の夢』
東京:2020年10月15日(木)~11月1日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
新潟:2020年11月7日(土)・8日(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
松本:2020年11月15日(日) まつもと市民芸術館 主ホール
兵庫:2020年11月20日(金)~22日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
札幌:2020年11月27日(金) 札幌市教育文化会館 大ホール
宮城:2020年12月5日(土) えずこホール(仙南芸術文化センター)大ホール
公式サイト
公式Twiter 
[スタッフ]
原作:ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳「夏の夜の夢」より
潤色:野田秀樹
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
[出演]
鈴⽊杏 北乃きい 加治将樹 ⽮崎広
今井朋彦 加藤諒 ⻑⾕川朝晴 ⼭中崇 河内⼤和 ⼟屋佑壱 浜⽥学 茂⼿⽊桜⼦ ⼋⽊光太郎
吉⽥朋弘 阿南健治 朝倉伸二 ⼿塚とおる 壤晴彦
 
〈鈴木杏プロフィル〉
 1996年にTVドラマデビュー。以後、テレビ、映画、舞台などで活躍の場を広げる。2003年に『奇跡の人』で初舞台を踏む。2012年に映画『軽蔑』にて第26回高崎映画祭最優秀主演女優賞、2016年に『イニシュマン島のビリー』、『母と惑星について、および自転する女たちの記録』にて第24回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞など受賞歴多数。主な舞台出演作は『殺意 ストリップショウ』、『キレイ-神様と待ち合わせた女-』『フローズン・ビーチ』など。
公式インスタグラム

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

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