同い年で「ぶりっこ」代表~アンチな私~
松田聖子のヒット曲「青い珊瑚礁」のさわり「あー、私の恋は……」が流れてくると、なぜか私の頭の中では自転車に乗って入学したばかりの大学に向かうシーンがフラッシュバックする。彼女がデビューした当時、かわいらしく媚びを売っているように見えるその素振りは「ぶりっこ」と言われ、私が最も苦手とするタイプの女子だった。けれども、そんな「アンチ」をよそに多くの女友だちは「聖子ちゃんカット」というふわふわしたかわいいカールのかかった髪型にしていたし、実際そういう子が男子に人気があったように思う。

1980年4月にリリースされた松田聖子のデビュー曲「裸足の季節」=ソニー・ミュージックダイレクト提供
ひがみ半分、羨ましさ半分ながら、当時は「ザ・ベストテン」「夜のヒットスタジオ」などの歌番組がたくさんあり、聖子ちゃんや中森明菜といったアイドルたちが出てくると、なぜか毎週、テレビの前で釘付けになって見ていたものだった。そう、彼女たちのその姿形と歌声とは「ついじーっと見ずにいられない」不思議な魅力で溢れていたのだ。
嫌いなはずなのに、なぜか「カセットテープ」でヒットソングを聞いていたし、嫌いなはずなのに特に1980年~1990年代の彼女の曲は全部口ずさむほど歌えるのだ。そんなあるとき、4つ下の妹が「彼女の歌声って、聞く人をなんだか幸せな気持ちにしてくれるんだよね」と言った。なあるほど、と思った。つい聞いてしまうのは、やはり彼女の「歌」と「歌声」のせいなのだ。

1982年