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海宝直人&黒羽麻璃央インタビュー/上

生身の人間が演じるからこその温度を大切にしたい『秒速5センチメートル』

橘涼香 演劇ライター


 俳優の言葉とアニメーションと音楽を有機的にリンクさせ、舞台だからこそ実現できる特別な体験を目指した朗読劇として2018年に誕生した《恋を読む》。これまで多様なジャンルから人気、実力を兼ね備えた豪華キャスト陣の「生の言葉」が、新たな恋物語を生み出したと大きな評価を得て、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『逃げるは恥だが役に立つ』と、回を重ねるシリーズへと成長してきた。

拡大海宝直人(右)と黒羽麻璃央=宮川舞子 撮影

 その《恋を読む》第三弾として、映画「君の名は。」でその名を轟かせた新海誠監督の美しくも切ないアニメーション作品『秒速5センチメートル』が、10月21日~25日、有楽町のヒューリックホール東京で上演される。互いへの初恋を胸に抱き続けながら、交わらない男女の運命を三つの短編の連作が描き出した、この切ない世界が、《恋を読む》シリーズを牽引してきた劇団「ロロ」主宰の三浦直之の手によって、どんな朗読劇として生れ出るのかに今、大きな注目が集まっている。

 そんな作品で、主人公遠野貴樹を演じる海宝直人(21日出演)と黒羽麻璃央(24日、25日出演)が、作品に感じている魅力や、朗読劇ならではの醍醐味、更に貴樹のようにそれぞれが思い続けるものについてなどを語り合ってくれた。

言葉で語らない空気感を「朗読劇」で伝える面白さ

拡大海宝直人=宮川舞子 撮影(スタイリスト:橘 昌吾/ヘアメイク:三輪昌子)

──今作の、オファーがあった時の気持ちから教えて下さい。

海宝:僕はこのお話を頂くまで『秒速5センチメートル』は拝見したことがなかったので、まず作品を観させて頂きました。モノローグの非常に多い作品ですし、内面の部分をとても繊細に映像化している。言葉で語っていくというよりは、空気感を映像で伝えていくのがとても素敵だなと思ったのですが、でもだからこそこれを朗読劇という形でどう伝えていくのだろう?ということに興味を持ちましたし、面白い試みだなと思いました。ですから今でもどういう作品になっていくのかが、すごく楽しみです。

黒羽:「恋を読むシリーズ」に参加させて頂くのは三回目で、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を二回やらせて頂いているのですが、新海監督の映画の中でも、今回の『秒速5センチメートル』は「恋を読むシリーズ」にピッタリな作品だなと思いました。朗読劇ではありますが、生身の人間が演じるにはすごく合っていると思うので、貴樹を演じられることをとても楽しみにしています。

──お二人は今日が初対面とのことですが?

海宝:はい!(黒羽に)はじめまして。

黒羽:はじめまして。よろしくお願いします。

海宝:よろしくお願いします!(笑い合う)

──同じミュージカル界の人気俳優さん同士で「はじめまして」なんですね!

黒羽:いえいえ、もう(海宝を示し)大先輩です!

海宝:そんな、とんでもない。

──そういうお二人が同じ役を演じることについていかがですか?

黒羽:直接お会いするのは今日が初めてなのですが、とある先輩から「海宝さんに似ているね」と言われていまして。

海宝:えっ?光栄です!

黒羽:いえ!僕が一方的にそれを嬉しいなと思って今日まで生きてきたので(笑)、同じ役を演じられるのがとても嬉しいです。でも似ているからと言って、同じ演じ方はたぶんしないと思いますし、他のチームも含めて各チームが様々な色を出せたらいいなと思っています。

海宝:複数チームで作っていくのは楽しみですね。僕たちの役もそうですし、他の役にもそれぞれとても個性豊かな方々が集まっていらっしゃいますし、声優さんですとか、同じミュージカルの世界でも全く別の演出家の作品を経験している方々が、多方面から集まっていますので、チーム毎に違うカラーの作品になると思います。やるのも楽しみですし、他のチームを観ることができたらいいなと。

初恋が実らないリアルがグサッと刺さる

拡大黒羽麻璃央=宮川舞子 撮影(スタイリスト:小渕竜哉/ヘアメイク:Ayane(Lomalia) 衣裳協力:MR.OLIVE(WALK IN CLOSET代官山 03-3463-5901))

──貴樹役についてはいかがですか?

海宝:非常に繊細なキャラクターだと思いました。特に口数の多い役柄ではありませんし、人と積極的に交流するシーンがたくさんある訳でもないので、朗読劇で表現する難しさも感じます。これから演じる上でどう膨らませていけるのか、黒羽さんはこの恋を読むシリーズを経験していらっしゃるので、それも是非伺いたいです。朗読劇とひと口に言ってもほとんど芝居と変わらないくらい動いているものもあれば、台本と向き合ってというものもありますから、演出を含めてどうキャラクターを構築していくのかなと。

黒羽:前回は結構動きも多かったですね。後ろの映像もかなり動いていましたし、朗読劇の距離感というのも演出に入っていて。最初は端と端で話していたものが、二人の関係性が深まると共に、だんだん近づいていって距離も縮まっていったんです。

海宝:そうなんですね。

黒羽:貴樹というキャラクターに関しては、男の方が未練たらたらで(笑)、女性の方がサッパリしているのがリアルだなと。まず初恋と言っていいのかな?それが実らなかったというのもそうですよね。普通恋愛ものだと好き同士が初恋を実らせた…という物語が感動をもたらすものが多いですが、成長してお互いに既に結婚する人が決まっていて、というところがリアルだなと。我々が普通暮らしている世界もそうですけれど、初恋ってそうそう実らない方が多いじゃないですか。そこがグサッと刺さるなと思いました。

海宝:貴樹のズルさも含めて生々しいというか、黒羽さんの言う通りにリアルですよね。特に第二話の鹿児島での話なども、思わせぶりなところがあって(笑)。

黒羽:そういうところありますね!

海宝:「一緒に帰ろう」って誘っちゃうみたいなね(笑)。女性からしたらちょっとイライラするところでもあるのかな?が本当にリアルで、はっきりしろよ!って思う(笑)。生身の人間が演じるからこその温度感が出せたら面白いだろうなと感じます。

◆公演情報◆
恋を読む vol.3『秒速5センチメートル』
2020年10月21日(水)~10月25日(日) ヒューリックホール東京
公式サイト
公式Twitter
原作:新海 誠
脚本・演出:三浦直之(ロロ)
【出演 ※出演日順】
入野自由×桜井玲香×田村芽実/海宝直人×妃海 風×山崎紘菜/前山剛久×鬼頭明里×尾崎由香/梶 裕貴×福原 遥×佐倉綾音/黒羽麻璃央×内田真礼×生駒里奈
全日程出演:篠崎大悟(ロロ) 、森本 華(ロロ)
※スカパー!オンデマンドで生配信も決定!
 
〈海宝直人プロフィル〉
 7歳の時、劇団四季の『美女と野獣』で舞台デビュー。『ライオンキング』初代ヤングシンバ役に抜擢され、同役を3年間つとめる。子役卒業後は舞台やミュージカルなどに出演。16年ぶりに『ライオンキング』では主人公シンバ役として出演し、子役ヤングシンバが成長後リアルに大人シンバ役として出演するのは初めてのことで大きな話題となった。2018年5月には『TRIOPERAS』で海外舞台デビュー(ロンドン・ウェストエンド・ピーコックシアター)。また、ヴォーカリストとして2012年に始動したロックバンド「シアノタイプ」のライブ活動では、2018年1月にはメジャーデビューを果たし、今年12月2日にはニューアルバム『Break a leg!』リリース予定。
オフィシャルサイト
Twitter 
 
〈黒羽麻璃央プロフィル〉
 ジュノン・スーパーボーイ・コンテストにて準グランプリを受賞し、芸能界入り。2012年、ミュージカル「テニスの王子様」の菊丸英二役(7代目)で俳優デビューし、2014年11月まで同作品に出演。その後は舞台を中心に、ドラマや映画でも活躍する。主な出演作品はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ、ドラマ『恋はつづくよどこまでも』、ドラマ『寝ないの?小山内三兄弟』シリーズなど。
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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

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