大野拓朗インタビュー/上
視覚も聴覚も楽しめるザ・エンターティメント!『プロデューサーズ』
橘涼香 演劇ライター

1968年の同名映画をもとに、2001年にブロードウェイで舞台化され、同年のトニー賞において、史上最多の12部門で最優秀賞を受賞した大ヒットミュージカル『プロデューサーズ』が、11月9日~12月6日、渋谷の東京シアターオーブで上演される。

大野拓朗=森好弘 撮影
“ブロードウェイミュージカルを題材としたブロードウェイミュージカル”であるこの作品は、かつてブロードウェイの名プロデューサーとして知られた存在だったが、めっきりヒット作に恵まれずに破産寸前まで追い込まれているプロデューサー・マックスと、いつかブロードウェイのプロデューサーになりたい!という夢を持っている気の弱い会計士のレオが、史上最低のミュージカルを作ってボロ儲けすることを計画したことから起きる、奇想天外なドラマを描いている。2005年にはブロードウェイ・オリジナル主要スタッフと主演キャストによる映画も製作され、更に多くの人々の心をつかみ愛され続けてきた。
そんな作品で、井上芳雄演じるマックスとコンビを組む会計士レオを演じる大野拓朗に、ユーモアとウィットに溢れたミュージカル・コメディに臨む意気込み、ダブルキャストでレオ役を演じる吉沢亮や、井上をはじめとした豪華キャスト陣のこと、更に、昨年フリーとなり単身ニューヨークに渡った想いを語ってもらった。
周りが放っておけなくなる愛すべきキャラクター

大野拓朗=森好弘 撮影
──作品の魅力をどう感じていますか?
今歌稽古や、振付がはじまっていて、お芝居の立ち稽古はこれからという段階なのですが、まず曲が素晴らしいということと、楽しい振付が多いので、聴覚的にも視覚的にも楽しめるエンターテインメントになっているのが、この作品の持つ大きな力だなと感じています。
──歌やダンスから既にその空気を感じるのですね!
「ザ・エンターテインメント!」「ザ・ブロードウェイ!」という感覚です。そんな作品が更に、演出の福田雄一さんの手によってどう調理されていくのかもとても楽しみですね。
──演じるレオ役についてはいかがですか?
会計士としてずっと鬱々とした生活を送っていた時にマックスと出会い、子供の頃からの「ブロードウェイのプロデューサーになる」という夢を実現しようとする。安定した生活をある意味で捨てて、夢に向かって飛び込んでいく勇気を持った人物です。僕も去年、それまでお世話になった事務所を退所させて頂いて「アメリカに行こう!」と決心した、その心境と重なる部分があるので、レオに共感できますし、自分との共通点も感じています。
──そんなレオ役を演じる上で大切にしたいと思っていることは?
まず彼が出す声を考えているのですが、ミュージカルの所謂典型的な王子様タイプの役柄ではないので、声もどこか頼りない、ふわふわした感じの声にできたらなと。「ただ僕は頭が悪いだけさ」という趣旨の歌詞があるのですが、ちょっとバカっぽい感じ(笑)と言いますか。僕の中でのレオのテーマが「バカ可愛い」なので、それによって愛されるキャラクターを作りたいんです。ついつい周りが放っておけなくなるような造形にしていきたいです。
◆公演情報◆
ミュージカル『『プロデューサーズ』
2020年11月9日(月)~12月6日(日) 東急シアターオーブ
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本:メル・ブルックス/トーマス・ミーハン
音楽・歌詞:メル・ブルックスオリジナル
振付:スーザン・ストローマン
日本版振付:ジェームス・グレイ
演出:福田雄一
[出演]
井上芳雄、吉沢亮、大野拓朗、木下晴香、吉野圭吾、木村達成、春風ひとみ、佐藤二郎 ほか
〈大野拓朗プロフィル〉
2009年、第25回ミスター立教に選出される。2010年、映画『インシテミル〜7日間のデス・ゲーム〜』で俳優デビュー。映画、テレビなどを中心に活躍しながら、2012年『エリザベート』ルドルフ役でミュージカルデビュー。2017年には『ロミオ&ジュリエット』ロミオ役でミュージカル初主演を果たす。2019年12月からは俳優修業のため単身渡米。
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