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小児性犯罪をその学校で調査するのは最悪の選択である

目配りに欠ける政府の「強化方針」

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

埼玉県では2019年度の県内公立学校の教職員のわいせつ事案に絡む懲戒処分が過去10年で最多となった。羽生市立新郷第一小学校のトイレには、「信頼される新一小職員として、子どもたちを育てます」などの標語が貼られていた=2020年2月
拡大埼玉県では2019年度の県内公立学校の教職員のわいせつ事案に絡む懲戒処分が過去10年で最多となった。羽生市立新郷第一小学校のトイレには、「信頼される新一小職員として、子どもたちを育てます」などの標語が貼られていた=2020年2月

(2)専門家を交えた第三者委員会による調査
 校内で小児性犯罪が起きたときは、専門家を交えた第三者委員会に調査を委ねるべきである(池谷、no.2877)。教委は、訴えがあった場合、同委員会を直ちに設置すべきである。周辺に専門家が不在でも、オンラインでの対応も期待できる。

 学校関係者のみで調査を行うのは不可である。「教育」機関に根強い無謬神話と、不祥事に対する隠蔽体質(同上、no.2529)が残る限り、それは最悪の選択である。だいいち、小児性暴力について無知な人に、まともな対応ができるはずがない。陪審員的な立場の人、つまり市民常識を下に判断することが期待された人は、いてもよい。だがそれは、専門的知識を有する人が不要であることを意味しない。弁護士が「専門家」の一人とされることがあるが、学校と関連の深い弁護士なら第三者の資格はない。

 私は不幸な事例を、知人からつぶさに聞いたことがある。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

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