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ヤクザ映画は〝参加すること〟に意義がある?! その2

【30】高倉健「唐獅子牡丹」

前田和男 翻訳家・ノンフィクション作家

「穏健良識派」の左傾化が橋本作品を歴史の証言者にした!?

 実は橋本治のポスターは日の目をみない可能性があった。

 駒場祭では毎年、ポスターは在学生約6000人から公募され、その採否は「駒場祭実行委員会」によって裁定されることになっていた。それは当時フロントという穏健な構造改革派グループが執行部を握る文化系・運動系サークルの連合組織「学友会」を母体に選出されていたが、その中に一人だけ〝鬼っ子〟の委員がいた。新左翼系党派の拠点でもあり筆者も所属していた「東大駒場新聞会」のメンバーで私の後輩のIである。

 応募作品の選考会でのことである。会議に遅れてやってきたIに、他の委員が口々に「これが面白いと思うのだが、どうでしょうか」と、会議室の壁に貼られた最終選考に残った10枚ほどの作品の1枚をしきりに推奨する。それが橋本治の

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筆者

前田和男

前田和男(まえだ・かずお) 翻訳家・ノンフィクション作家

1947年生まれ。東京大学農学部卒。翻訳家・ノンフィクション作家。著作に『選挙参謀』(太田出版)『民主党政権への伏流』(ポット出版)『男はなぜ化粧をしたがるのか』(集英社新書)『足元の革命』(新潮新書)、訳書にI・ベルイマン『ある結婚の風景』(ヘラルド出版)T・イーグルトン『悪とはなにか』(ビジネス社)など多数。路上観察学会事務局をつとめる。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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