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『政治家の覚悟』で見えた菅義偉に決定的に欠けているもの

「無ロゴス主義」から現れる首相の言葉

大槻慎二 編集者、田畑書店社主

 この記事を書くために、国会図書館に行ってきた。2012年に刊行された『政治家の覚悟 官僚を動かせ』の単行本版を見たかったからだ。古書で探したら2万円近くの値がついていて、それほどの対価を払うことかと思い、諦めた。

 コロナ禍対策で抽選制の国会図書館内は人影もまばらだったが、最初のリクエストでは「現在、貸出中」であり、次には「この資料は貸出し不可です」という赤字のメッセージが端末に出て、とうとう借りることはできなかった。折しも道路を1本隔てた国会議事堂の中では臨時国会が始まっていた。まさかここまで官邸の手が伸びているとは考えたくもないが……。

菅首相の著書「政治家の覚悟」拡大菅義偉著『政治家の覚悟』(文春新書)
 文藝春秋社から新書版が出るやいなや話題となった、例の「公文書」に関する記述がゴソッと除かれているということもこの目で確かめたかったが、諦めるしかない。よってこの新書版のみを頼りに「菅義偉」という「著者」の本質を探ってみたい。

筆者

大槻慎二

大槻慎二(おおつき・しんじ) 編集者、田畑書店社主

1961年、長野県生まれ。名古屋大学文学部仏文科卒。福武書店(現ベネッセコーポレーション)で文芸雑誌「海燕」や文芸書の編集に携わった後、朝日新聞社に入社。出版局(のち朝日新聞出版)にて、「一冊の本」、「小説トリッパー」、朝日文庫の編集長を務める。2011年に退社し、現在、田畑書店社主。大阪芸術大学、奈良大学で、出版・編集と創作の講座を持つ。フリーで書籍の企画・編集も手がける。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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