高まった「本屋を開けて」の声。パリ市長は「アマゾンで買わないで」
2020年11月18日
フランスでは10月30日から再びロックダウン(都市封鎖)が始まった。前回は3月17日から5月11日までだから約5カ月半ぶり。9月後半からコロナの感染者数が急増し、10月17日にはようやく夜間外出禁止令が出されたが、時すでに遅し。医療崩壊は現実味を増すばかりとなり、あえなくまたロックダウンすることになった。
とはいえ、国民はすでに勝手がわかっているためか緊迫した空気は流れなかった。前回見られた買い占め行動もほぼ消えた。少なくともパリ15区のスーパーでは、パスタも缶詰もトイレットペーパーもたっぷり残っていた。だが、再ロックダウンが始まる直前には、前回同様、パリから脱出する人が続出。前日の夕方は、パリを含むイル・ド・フランス地域圏で最高711キロの大渋滞を記録した。
ロックダウンの内容は前回と比べるとやや緩めだ。大きな違いは高校生以下の子供がこれまで通り通学できること。しかし、これに関しては当初から生徒や教師の安全が確保できないとして批判が大きかった。政府から改善案が出されるも、学校の封鎖を試みる高校生と警察の間での小競り合いが続くなど緊張状態が続いている。
前回閉鎖された公園や森は開放されたが、こちらの措置は歓迎されている。5月のロックダウン解除後には、自然を求め多くの人が公園や森に押しかけニュースになった。たとえ短時間でも自然を感じることは、やはり人間の本質的な欲求らしい。筆者も最初のうちこそ何ともなかったが、1カ月が経つ頃にはさすがに気分が滅入ってきた。せめて近所の公園が開いていたらと思う。
秋が深まる時期にスタートした再ロックダウンだが、今のフランスは日照時間が短く夕方から一気に物寂しい雰囲気になる。ロックダウン中は精神衛生にも気をつけないといけない。
人が集まる場所は基本的に扉が閉ざされた。レストラン、カフェ、バーも持ち帰りや配達以外は営業できない。しかし、社会生活に「必要不可欠」とみなされた店は営業ができる。例えば、食料品店、スーパー、タバコ屋(新聞や雑誌も販売)、薬屋、銀行、ペット用品店、情報機器関連の店、ガソリンスタンドなど。国民は通勤や通学、通院、買い物など必要不可欠な外出は、特例外出証明書を所持している限り認められる。健康維持のための散歩なら1日一度、半径1キロ、1時間以内ならできる。
前回と同様、映画館、劇場、美術館、ライブハウス、書店などの文化関連の施設は一斉に休業となった。夜間外出禁止令が出ていたので、映画館や劇場など夜の営業があった場所はすでに打撃を受けていたが、再ロックダウンのせいで営業の息の根を完全に止められた形だ。
この中で注目を集めたのが書店である。
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