林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト
フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
高まった「本屋を開けて」の声。パリ市長は「アマゾンで買わないで」
前回閉鎖された公園や森は開放されたが、こちらの措置は歓迎されている。5月のロックダウン解除後には、自然を求め多くの人が公園や森に押しかけニュースになった。たとえ短時間でも自然を感じることは、やはり人間の本質的な欲求らしい。筆者も最初のうちこそ何ともなかったが、1カ月が経つ頃にはさすがに気分が滅入ってきた。せめて近所の公園が開いていたらと思う。
秋が深まる時期にスタートした再ロックダウンだが、今のフランスは日照時間が短く夕方から一気に物寂しい雰囲気になる。ロックダウン中は精神衛生にも気をつけないといけない。
前回登場した医療関係者への謝意を示す「夜20時の拍手」は自然消滅している。代わりにツイッター上で、#a20hjereclame(20時に私は要求する)のハッシュタグがトレンド入り。“私は20時に拍手はしないが、この6年で削られた病院の1万3000床の復活求む”、“私は20時に拍手はしないが、看護師に最低月300ユーロ(約3万9000円)の賃金上昇を求む”というように、具体的な改善案が大喜利のようにいくつも書き込まれた。看護師側は「同情するより金をくれ」ではないけれど、実体のない感謝より形ある保障を求めており、国民も彼らに同情し、改善案を共有していた。
人が集まる場所は基本的に扉が閉ざされた。レストラン、カフェ、バーも持ち帰りや配達以外は営業できない。しかし、社会生活に「必要不可欠」とみなされた店は営業ができる。例えば、食料品店、スーパー、タバコ屋(新聞や雑誌も販売)、薬屋、銀行、ペット用品店、情報機器関連の店、ガソリンスタンドなど。国民は通勤や通学、通院、買い物など必要不可欠な外出は、特例外出証明書を所持している限り認められる。健康維持のための散歩なら1日一度、半径1キロ、1時間以内ならできる。