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『両国花錦闘士』大鶴佐助インタビュー/下

ライバルがいることで自分と向き合える

橘涼香 演劇ライター


『両国花錦闘士』大鶴佐助インタビュー/上

雪乃童が、温和でおっとりしただけの人であるはずがない

──国技館の大相撲観戦で、貴重な感覚を色々と得られたのですね。

 特に、僕が演じる雪乃童という役は温和と言いますか、感情表現がそんなに豊かではない。そこが自分の考えをきちんと持って、我の強い昇龍との対比にもなっていて。雪乃童にも「昇龍にだけは負けない!」というライバル心はちゃんとあるんですが、でもどこか気弱で、おっとりしている人物だなと捉えていたんです。でも雪乃童は舞台の第二幕では小結になるんです。そのことが実際に大相撲を観てから、全く違って見えてきて。これだけの人数が闘っている中から、幕内にあがるのは本当に大変なことだし、その前の十両に入れるのも選ばれた人なんです。その十両から更に勝ち上がった人だけが、幕内力士になれる。ましてや小結と言えば三役ですから、たゆまぬ努力はもちろんですが、才能もあるまさに一握りの選ばれし者なんです。

 朝からずーっと相撲を見ていると、三役になんて一度もなれない人の方が圧倒的に多いんだってことがわかります。そう考えると、僕が演じる雪乃童は、最初から幕内入りしているし、二幕では小結にもなっている。そこまで上り詰める人が、温和でおっとりして、ふわっとしている、というだけなはずはないだろうと、僕の中でイメージがガラリと変わりました。絶対に豊かな才能を持った、選ばれた星の下に生まれている人なはずなので、普段のおっとりした性格は残しつつも、相撲に対する向き合い方や、立ち合いの時の居方などは、結構強く作らないといけないなと思っています。小結という地位に対して自覚を持たなければならないなと思いました。

──それは本当に良い経験でしたね。

 そうなんです。きちんと観ないままで稽古に臨まなくてよかったなと思っています。

演じる僕たちも良い意味で想像がつかない

拡大大鶴佐助=森好弘 撮影〈Hair&Make-up:吉山裕樹(f-me)・スタイリング:石橋修一〉

──今、お稽古がはじまっているというお話でしたが、お稽古場の雰囲気はいかがですか?

 まだ女性キャストが合流していなくて、最初に相撲の所作稽古があって、そのあとに歌稽古や振付と進んでいるのですが、今は何しろ男だけで相撲稽古からはじまるので、恰幅の良い方もいらっしゃいますし、今の印象だけで言うと学校の「相撲部」に入った新入部員が、相撲の基本稽古をしている感じなんです(笑)。四股を何十セットも踏んで、ぶつかって、「ごっつあんです!」とかやっているので、これは芝居の稽古ではなくて、相撲部だったんだっけ?というくらいで(笑)。とても楽しいのですが、あぁ暑い!と水を飲んでぶつかりあっている、この男くさく暑苦しい中で、本読みや、立ち稽古がはじまった時に、女性陣たちがどんな清涼感と、薔薇色の風を吹かせてくれるのかと。更に、その風が吹いた時に僕たち男力士集団がどういう化学反応を起こすのか?が楽しみです。

──相撲部屋のおかみさん役の紺野美沙子さんは有名な「スー女(※相撲を愛する女性)」だそうですし!

 そうなんですよ! だからきっと女性キャストが加わっての稽古がはじまったら、180度どころか360度回っちゃうんだろうな!(笑)というくらいどんどん変わっていくと思います。そこに歌とダンスが加わる訳ですから。

──その効果はすごいですよね。

 今でさえすごく面白い雰囲気の稽古場なので、それがどうなるかは想像できないくらいですが(笑)その目まぐるしく変わっていくであろう稽古場の空気感を肌で感じながら、良い形で初日を迎えられたらいいと思っています。

◆公演情報◆
拡大©2020『両国花錦闘士』
『両国花錦闘士』
東京:2020年12月5日(土)~12月23日(水) 明治座
大阪:2021年1月5日(火)~1月13日(水) 新歌舞伎座
福岡:2021年1月17日(日)~1月28日(木) 博多座
公式ホームページ
★2020年12月15日(火) ライブビューイング<全国生中継>開催決定!

[スタッフ]
原作:岡野玲子(小学館クリエイティブ「両国花錦闘士」)
作・演出:青木豪
主題歌:デーモン閣下
[出演]
原嘉孝(ジャニーズJr.)/大鶴佐助、大原櫻子
木村了(特別出演)、入江甚儀、徳永ゆうき、岸本慎太郎(ジャニーズJr.) 、根岸葵海(ジャニーズJr.)
大山真志、橘花梨、加藤梨里香/市川しんぺー、福田転球、伊達暁
紺野美沙子/りょう ほか
 
〈大鶴佐助プロフィル〉
 2005年デビュー。舞台・映画・TVドラマなど数々の話題作に出演し、初々しくも伸びやかで変幻自在の愛嬌にあふれた魅力に、演劇界から注目されている。主な舞台出演作は、『ボクの穴、彼の穴。』『ピサロ』『あれよとサニーは死んだのさ』『エダニク』『MANN IST MANN -男は男だ-』『豊饒の海』『あたらしいエクスプロージョン』など。
公式ホームページ
公式twitter

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

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