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【公演評】星組『エル・アルコン-鷹-』『Ray -星の光線-』

ダーティーヒーローで大人の色気も炸裂! 礼真琴があの名作・名曲をよみがえらせる

さかせがわ猫丸 フリーライター


 星組公演、グランステージ『エル・アルコン-鷹-』『Ray -星の光線-』が、11月20日、梅田芸術劇場で初日を迎えました。

 『エル・アルコン-鷹-』は少女漫画界の重鎮・青池保子さんの代表作で、2007年に安蘭けいさん率いる星組で上演し、大好評を博しました。主人公のティリアン・パーシモンは、七つの海を制覇するという野望に燃えた男で、宝塚には珍しいダーティーヒーロー。主演の礼真琴さんが、憎らしいのに惹かれてしまう悪い男を、妖艶に、エネルギッシュに演じています。

 復讐を誓う者たちとの対決、フランスの女海賊との愛憎を描いた壮大な歴史ロマンは、ドラマチックな音楽や演出も見どころです。話題を呼んだ名作の再演は、新旧、原作ファン問わず心を躍らせることでしょう。

 大劇場から続くショー『Ray -星の光線-』もブラッシュアップされ、礼さんの歌とダンスがたっぷり堪能できる公演となりました。(以下、ネタバレがあります)

ダークな役に徹する礼

拡大『エル・アルコン-鷹-』公演から、ティリアン役の礼真琴=岸隆子 撮影

 『エル・アルコン-鷹-』は作品の面白さはもちろん、楽曲も魅力的で、その主題歌は今もイベント等で歌い継がれているほどです。海賊ものが大好きで、この作品が憧れだったという礼さん。同じ星組で、安蘭さんに負けない歌唱力を持つ礼さんにとって、再演は運命の巡りあわせだったかもしれません。

――16世紀後半のヨーロッパ。スペイン貴族の血を引くティリアンは、母の従弟ジェラード(綺城ひか理)に影響を受け、幼い頃から海への憧れを募らせていた。若くしてイギリス海軍中佐となったティリアンは、己の野望を実現するため、スペインと通じながら冷酷非道な策もいとわない。スペインにとってやっかいな商人グレゴリー・ベネディクト(輝咲玲央)を殺害したり、友人の陸軍大佐エドウィン(天華えま)から海軍提督の令嬢ペネロープ(有沙瞳)を奪うなど、邪魔者には罠を仕掛け、次々と陥れていくのだった。

 ジェラードと過ごした少年時代から、入れ替わるように礼ティリアンが登場。初演当時、大劇場公演ではまだ珍しかったスクリーン映像に興奮しましたが、少し小ぶりの梅田芸術劇場でも、おなじみの主題歌が流れるだけで、そこはもう大海原。礼さんの存在感と美声で、客席は一気に七つの海へと引き込まれます。

 ティリアンは感情を表に出さない冷酷無比な男で、大人の色気もたっぷり。いつもは清く正しく白い役が中心となる宝塚で、トップスターがこのような黒い役を演じるのは珍しいかもしれません。これまで正義の味方が多かった礼さんも、男役としての年月を重ね、ふさわしい“時”がやってきました。最初は憎らしかったはずが、物語が進むにつれ抗えなくなるティリアンの魅力を、礼さんは卓越した歌やダンスに乗せて、強く妖しく表現しています。

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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