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障害や病気がある人が周囲にいるのが当然という社会になれば楽に生きられる

NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会理事・川口有美子さんに聞く

鈴木理香子 フリーライター

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う女性(当時51)からSNSを通じて依頼を受けた医師2人が、女性に薬物を投与して殺害したとして、京都府警は2020年7月23日、2人を嘱託殺人の疑いで逮捕した(8月13日に京都地検は2人を起訴、10月26日、京都地裁で第1回公判前整理手続きが行われた)。
 医師が難病の女性を死にいたらしめたこの事件について、ALS患者の家族はどう見るのか。連載の第5回はALSを患った家族を自宅で看取った川口有美子さん(NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会副理事長、有限会社ケアサポートモモ代表取締役)に登場していただいた。 

川口有美子 NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会副理事長、有限会社ケアサポートモモ代表取締役。2013年、立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程修了。著書に『末期を超えて――ALSとすべての難病にかかわる人たちへ』(青土社)、『逝かない身体――ALS的日常を生きる』(医学書院、第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞)など。 

――川口さんは、ALSを患ったお母さんを約12年にわたって看てきました。

川口 母の病状の進行は早いほうだったと思います。毎日何かができなくなり、体を動かせなくなっていきました。TLS(Totally Locked-in State:完全閉じ込め状態)になったのは発症のほぼ4年後です。言語的な会話はできなくなりましたが、その後も母の体はいろいろなことを家族や介護者に語り続けてくれました。

川口有美子さん拡大川口有美子さん
――今はその経験を活かして、障害者や難病の患者さんを支援されています。

川口 さくら会ではヘルパーの養成事業や障害者、難病の人のQOL(生活の質)の改善のための研究事業などを、ケアサポートモモではALSを中心とする難病患者へのヘルパー派遣事業を行っています。現在、人工呼吸器を付けて在宅療養をされている約20人のもとに、ヘルパーを派遣しています。

――さくら会は安楽死法制化に反対していますが、京都の事件をどう見ますか。

川口 報道によると、彼女が拠り所としていたツイッターのグループは、「死ぬこと」に対して同じ考えを持つ人が集まってきていたようです。詳細は分かりませんが、「死にたい」「死んだ方がマシ」という訴えに、「その気持ち分かるよ」「つらいね、かわいそう」という言葉が返ってくる。そういうやりとりのなかで、死にたいという気持ちが強くなっていったのではないかと感じました。

 彼女がもし、長生きしている患者さんたちのネットワークにうまくつながることができていたら、状況は変わっていたかもしれない。生存する方向に導かれていた可能性があり、とても残念です。

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筆者

鈴木理香子

鈴木理香子(すずき・りかこ) フリーライター

TVの番組製作会社勤務などを経て、フリーに。現在は、看護師向けの専門雑誌や企業の健康・医療情報サイトなどを中心に、健康・医療・福祉にかかわる記事を執筆