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障害や病気がある人が周囲にいるのが当然という社会になれば楽に生きられる

NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会理事・川口有美子さんに聞く

鈴木理香子 フリーライター

当時は、「安楽死」という言葉が甘美に聞こえた

Jana Shea/Shutterstock.com拡大Jana Shea/Shutterstock.com

――安楽死は反対という考えは以前から持っていたものですか。

川口 いえ、昔はむしろ賛成でした。べったり母の介護をしていたときは、死よりほかに母を楽にする方法はないと考え、どうしたら安らかに死なせられるか、その方法を探していたくらいです。当時は「安楽死」という言葉がとても甘美なものとして聞こえていましたし、「死ぬ権利」もあると思っていました。

 のちに、そういう状態の私は母にとって一番の危険人物であり、私を母から離さないと母の命が危ないということが分かりました。私が母に手をかけないですんだのは、大勢の方の手助けがあったからです。

――気持ちが変わったのには、何かきっかけがあったのでしょうか。

川口 そうですね。一つは、合法化のための勉強をしていたら、安楽死ほど危ないものはないと分かったから。もう一つは、母の介護に公的介護制度を使えるようになって、私に時間ができたからです。母も「娘はキツいけど、ヘルパーはやさしい」と、ヘルパーさんにお願いするようになった。そこで私も母から解放されました。

 解放されて母の様子を客観的に見ると、母はかわいそうな人には見えなかった。それで、自分の親に対して子が「死んだ方がマシ」と思うのは不遜で、それほどひどいことはないと気付いたんです。どんな状態でも母の命を否定せずに、私も一緒に生きようと決意しました。

――安楽死を肯定する人のなかには、「安楽死はいつでも死ねる手段なので、逆に死ぬことを止める役割がある」という人もいるようです。

川口 ALSの患者さんもよく言います。「安楽死が合法化されたら、安心して生きていける」と。でも、その考えは危険なのではないかと思っています。

――危険、ですか?

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筆者

鈴木理香子

鈴木理香子(すずき・りかこ) フリーライター

TVの番組製作会社勤務などを経て、フリーに。現在は、看護師向けの専門雑誌や企業の健康・医療情報サイトなどを中心に、健康・医療・福祉にかかわる記事を執筆

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです