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ミュージカル『ナイン』公演&ライブ配信レポート

女性たちに翻弄される映画監督で城田優が新境地を見せる

大原薫 演劇ライター


 ミュージカル『ナイン』が上演中だ(梅田芸術劇場メインホール、12月13日まで)。イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニの自伝的作品『8 1/2(はっかにぶんのいち)』を原作として、アーサー・コピット(脚本)、モーリー・イェストン(作詞・作曲)によりミュージカル化された。

 スランプに陥った映画監督グイド・コンティーニ役で城田優が主演し、気鋭の演出家、藤田俊太郎と初タッグを組んだ本作。好評を受けて、大千穐楽公演の12月13日12時のライブ配信が決定した。舞台上に設置されているカメラの撮影で、客席では後ろ向きで顔が見えない場面でも表情を見られて「こんな表情をしているのか……」と新たな発見もあり、劇場へ足を運べない人も十分に楽しめるライブ配信になっている。

 公演、そしてライブ配信の模様をレポートする。(以下、ネタバレがあります)

「映画+演劇(ミュージカル)」の新たな創作を目指す

拡大ミュージカル『ナイン』公演から=岩田えり 撮影

 劇場に入れば、聞こえるのは波の音。そして舞台と客席を隔てるのは半透明の幕。やがて舞台にグイド(城田優)が現れて、少年時代のグイドと幕越しに手を合わせる。椅子に座ったグイドは何か映画を見ているようだ。そこにグイドと関わりがあった女性たちが色鮮やかな衣装に身をまとい、次々と登場するところから舞台は始まる。

 以前からフェリーニの映画『8 1/2』に惹かれていたという藤田俊太郎。今作にも『8 1/2』へのオマージュが随所に感じられる。映画版グイドのマルチェロ・マストロヤンニと同じく、城田の演じるグイドは1幕で黒のスーツに身を包む(ちなみに、フェリーニ自身が当時身に着けていたのも黒のスーツだったそうだ)。舞台に現れた半円形に組まれた鉄製の骨組みは映画版に登場する舞台撮影所のよう。そして、作品冒頭で登場キャラクターたちが手をつなぎ円になって踊るシーンは、映画版のラストシーンを彷彿させる。

 藤田はこの作品で「映画+演劇(ミュージカル)」という新たな創作を目指しているという。劇中では台詞や歌が日本語のみならず英語やイタリア語で表現され、舞台上半分を覆う幕に字幕を映すなど、斬新な表現が試みられている。半円形のセットの中にはいくつものカメラが設えられているが、それらはグイドの目線を象徴しているもののようにも感じられ、実際にその映像は舞台上部の幕に映し出される。

説得力のあるグイドを城田が好演

拡大ミュージカル『ナイン』公演から=岩田えり 撮影

 創作スランプに陥った映画監督グイド・コンティーニは新作の撮影が迫っているのに構想が浮かばず、苦悩していた。妻・ルイザ(咲妃みゆ)に離婚を切り出されるが、妻との関係修復とスランプ打開のために、スパのマリア(原田薫)が誘うベネチアのスパリゾートを訪れる。しかし、愛人・カルラ(土井ケイト)や映画プロデューサーのラ・フルール(前田美波里)、アシスタントで評論家のネクロフォラス(エリアンナ)が後を追ってベネチアにやって来て、息つく暇もない。

 女性たちに翻弄されたグイドは幻想の世界へと逃げ込み、少年時代の自分に思いをはせる。混迷を続ける中で、創作のミューズである女優・クラウディア(すみれ)に出演オファーをするが……。

拡大ミュージカル『ナイン』公演から=岩田えり 撮影
 過去の記憶と現在、現実のドラマとグイドの幻想が交錯する物語。半円形の舞台セットが回転するたびにステージは切り替わり、多彩なイメージが繰り広げられる。時にはレビューのように、時にはコミカルに、時にはシリアスに。その時々のステージに身を任せるうちに、次第に見ている自分自身も物語の世界に取り込まれていくようだ。

 グイドを演じる城田。本作と同じアーサー・コピット(脚本)、モーリー・イェストン(作詞・作曲)のコンビによる『ファントム』を演出・主演した城田が今回、新たに主役を務める。髭をたくわえてラテン系のセクシーな大人の色気を発揮しながら、女性たちに翻弄される脆さや弱さ、滑稽さを有り体に見せる。矛盾のうちに垣間見える、少年の時の魂。そのどれもが魅力的だ。人間とは一色に染め上げられるものでなく、かくも複雑なものなのか。でも、混乱にもがきながらも内に輝くピュアさがあるから、ここまで女性たちは惹きつけられるのだろう。説得力のあるグイドだった。

◆公演情報◆
ミュージカル『ナイン』
大阪:2020年12月5日(土)~12月13日(日) 梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ
公式Twitter
[スタッフ]
脚本:アーサー・コピット
作詞・作曲:モーリー・イェストン
演出:藤田俊太郎
[出演]
城田優 咲妃みゆ すみれ 土井ケイト 屋比久知奈 エリアンナ
原田薫 春野寿美礼/前田美波里
DAZZLE(長谷川達也、宮川一彦、金田健宏、荒井信治、飯塚浩一郎、南雲篤史、渡邉勇樹、高田秀文、三宅一輝)
★ミュージカル『ナイン』最舞台映像はこちら
【配信日程】
●2020年12月13日(日)12:00公演
【料金】
ライブ配信視聴券:4,000円(税込)⇒GOTOイベント適応で3,200円!
視聴券プログラム付き:6,000円(税込)⇒GOTOイベント適応で4,800円!
【発売日】2020年11月27日(水)17:00より開演30分後まで
視聴チケット購入ページ
【視聴・チケットに関するお問合せ
【ライブ配信の詳しい情報はこちら
 
★DVDの発売も決定★
12月13日(日)までの申込みなら先行予約特典付きでご予約受付中!
特典映像も入った豪華3枚組!!
【先行予約特典】
公演オリジナル!非売品マンスリーカレンダーをプレゼント♪
グイドの“愛の言葉”をお楽しみいただけます!
また、送料・代引き手数料無料!発売日より前にお届けいたします。
【収録内容】
公演映像ディスク2枚&特典ディスク1枚の豪華3枚組DVD
◎特典映像をご紹介
★劇中ライブカメラで撮影した実際の映像をディレクターズカット版でお届け
★演出家・藤田俊太郎スペシャルインタビュー
★城田優スペシャルインタビュー
そのほか、舞台オフショットやキャストコメントなども収録予定。
◎舞台写真をふんだんに盛り込んだ、豪華ブックレット
【料金】12,100円(税込)
【発売日】2021年4月16日(金)予定
【インターネット先行予約 お申込み
【DVDの詳しい情報はこちら

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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