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演出家の元吉庸泰と荻田浩一が競作、ミュージカル『EDGES-エッジズ-』/下

日本初演、コロナ禍での公演中止を経て12月上演

大原薫 演劇ライター


演出家の元吉庸泰と荻田浩一が競作、ミュージカル『EDGES-エッジズ-』/上

チームBLUEとチームREDに集う多彩なキャスト

――元吉さんが演出するチームBLUEは太田基裕さん、矢田悠祐さん、増田有華さん、菜々香さん。荻田さんが演出するチームREDは林翔太さん、藤岡正明さん、実咲凜音さん、梅田彩佳さんがご出演されます。キャストの印象と期待することは?

荻田:林さんとは初めてご一緒します。4~7月の公演では元吉さんのチームで出演する予定で、そのときとは役割や曲順も違うのに覚え直してくださった。稽古で「ここはもっと休符を増やしてもいいよ」とか言うとすぐに反応が返ってきて、引き出しをたくさん持っていらっしゃる方だなと思います。まだ稽古序盤ですが、これからどんどん暴れてくれるんじゃないかというのが楽しみですね。藤岡さんは元々アーティストでもある方なので、音楽をいかに自分のものにして語るかということに長けている方。素晴らしい声の持ち主なので、彼の持っているテクニックや上から下までいろんな声を駆使してもらいたいなと思っています。

 実咲さんと梅田さんは二人ともわりとサバサバしているタイプで、ためらいなく振り切ってくれる。パワフルでからっとしているところがこの楽曲の持っている若者らしい奔放なエネルギーと合致している気がしますね。女子二人でボウリングの玉みたいに突き進んでいく。短期決戦の公演なので、勢いに乗って盛り上げていっていただけたらと思っております。

拡大元吉庸泰(左)・荻田浩一

元吉:我々チームは男子と女子が大きく分けると、男子の太田くんと矢田くんの二人はある意味現代的。たくさん歌稽古してきても「僕、大丈夫ですか?」と言ってくるタイプですね。でもミュージカル以外の現場にもたくさん立ってきた二人だから、そんなことを言いながら、ちゃんと内側には燃えるものがあるんだと思う。タイプ的に近いものがある二人が役割を分けながらやっていく面白さが生まれ始めています。

 女子の二人、増田さんと菜々香さんはギラギラしているんですよ。強いエネルギーを持っているんだけど、男子二人はエネルギーを持っていてもそれをうまく隠していくみたいなところがありますね。

荻田:チームREDは予習してこないのにガシガシと進むタイプ。チームBLUEは予習してきたけど「大丈夫ですか?」というタイプなんじゃないかな。

演劇の神様が「上演しなさい」と言ってくれたのかなと思う

――『EDGES』というタイトルにはどんな意味が込められていると思いますか。

元吉:雑な日本語になるんですけど、僕は「ガワ」(外側)ととらえています。自分を形作っているものは何だろうと考えるとき、自分の外側の部分が明確になると安心するじゃないですか。自分はこういう職業で、こういう場所に住んでいるとか、いろんなエッジズが重なっていくことが、ある意味のライフだと思っていて。ただ、エッジズが重なっていくと、僕らはより複雑になり重たくなって、自分がわからなくなる。曲の中でたくさん重なっていったエッジズが最終的にどうなるのか……という作品だと、僕はとらえています。

 海外ではエッジという言葉はポジティブな意味なんです。「ガワ」を得た若者たちが歌の中で「ガワ」を脱ぐのか、それとももっと着るのか、試していきたいと思っています。

荻田:僕は、「側面」「断面」かなと思っていて。たとえば「コッペパンだと思っていたのに、切ってみたら中にはいろんな具材が入っていた」みたいな感じで、その曲ごとにキャラクターの断面が見せられたらと思います。先ほど他愛ない話だと申し上げたんですが、他愛ない話を語るありふれた人々の複雑な断面が見えたらいいんじゃないかなと思います。

◆公演情報◆
拡大ミュージカル『EDGES-エッジズ-』
ミュージカル『EDGES-エッジズ-』
作:ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール
会場:新国立劇場 中劇場
主催/企画・製作 シーエイティプロデュース
公式HP
 
[チームBLUE]
12月3日(木)~6日(日)
演出:元吉庸泰
音楽監督:園田 涼
出演:太田基裕 矢田悠祐 増田有華 菜々香
演奏
ピアノ:松井トモコ シンセサイザー:桑原まこ
パーカッション:野崎めぐみ/吉田開 ギター:大月文太
[チームRED]
12月7日(月)~10日(木)
演出:荻田浩一
音楽監督:奥村健介
出演:林 翔太 藤岡正明 実咲凜音 梅田彩佳
演奏
ピアノ:中原裕章 ギター:YUTAKA ベース:瀬戸圭介 ドラム:李令貴
 
〈元吉庸泰プロフィル〉
 劇団「エムキチビート」主宰。自身の劇団の全公演の脚本、演出をしつつ、商業公演の演出も請け負う。演出の幅はバーでの公演からミュージカルまで多岐に渡る。教育機関での演技コーチングなども請け負う。その場に立つ俳優の実感を、空間演出により最大限に引き出す手法に定評がある。鴻上尚史主宰の「虚構の劇団」作品をはじめ、板垣恭一、深作健太、辻仁成、鈴木裕美、小林香、西田シャトナーなど第一線で活躍する演出家の演出助手も務める。
オフィシャルtwitter
オフィシャルブログ
 
〈荻田浩一プロフィル〉
 1997年、宝塚歌劇団『夜明けの天使たち』で演出家デビュー。2008年の退団までに数々の名作を生み出し、繊細かつ甘美な独自の美学を持った作風で高い評価を得た。2004年『ロマンチカ宝塚’04~ドルチェ・ヴィータ!~』で文化庁芸術祭演劇部門優秀賞を受賞。在団中から『アルジャーノンに花束を』『蜘蛛女のキス』『傾く首~モディリアーニの折れた絵筆~』など外部の作品を手がける機会も多く、2008年宝塚歌劇団を退団後は、ストレートプレイ・ミュージカル・ショーなど幅広く活躍中。
公式ホームページ

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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