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舞台『キオスク』に出演 橋本さとしインタビュー/下

舞台の僕らと客席の皆様が団結すれば見えない敵とも戦える

橘涼香 演劇ライター


舞台『キオスク』に出演 橋本さとしインタビュー/上

感情を言葉やメロディーに込めて伝えていく

──橋本さんはつい先日ミュージカル『ビリー・エリオット』の舞台の大千秋楽を終えたばかりですが、ミュージカル作品と今回のストレートプレイ『キオスク』との、演じる上での違いや、それぞれの楽しさ、また難しさ等はいかがですか?

 表現して言葉を伝える、感情を伝えるという意味においてはストレートプレイもミュージカルも全く同じだと思います。僕はミュージカルでもあまり楽譜を持たないんです。それが良いことか、悪いことかはわからないのですが、音符に感情を縛られたくないという気持ちがあって。耳から音を入れてそこに自分の感情を乗せていく。楽譜にひたすら忠実であろうとするよりも、音に感情が十分乗っている方がお客様に届くと思っているので。肉声で発したメロディーに感情を乗せていくことで、伝わるものを表現するのがミュージカルだと思います。

 それがストレートプレイになっても、台詞に感情を乗せて伝えること、その表現としては変わらないのですが、台詞の間や行間を埋めていくのが最も大切で。ミュージカルにはメロディーという武器があるのですが、ストレートプレイでは全て自分が作っていくしかないので、そこに自分の生き様を懸けてぶつかっていくことになります。そうした作り方の違いがそれぞれに面白いですね。

拡大橋本さとし=岩田えり 撮影

──『キオスク』について「渇望していたストレートプレイ」とおっしゃいましたが、そうしたそれぞれの面白さがあるからこそ、ミュージカルもストレートプレイも双方をやっていきたいというお気持ちなのですか?

 不思議なもので、ミュージカルをやっていると「そろそろストレートプレイがやりたいな!」と思いますし、ストレートプレイをやっていると「またミュージカルがやりたい!」と思うんです(笑)。ですから両方のオファーが頂けているのは本当にありがたいですし、これからも両方をやらせて頂きたいと思っています。

演劇は心を満たせるとまず僕らが信じなければ

拡大橋本さとし=岩田えり 撮影

──新型コロナ禍に見舞われた2020年は劇場が全て閉じてしまうという想像したこともなかった出来事が現実のものとなってしまい、エンターティメントの世界が様々な模索を続けていて、残念ながらまだそれが終わったとは言えない状況ですが、橋本さんもこの期間にエンターティメントについてお考えになられましたか?

 やはり特に自粛期間中は色々と考えました。何よりも立っていた舞台が途中で継続できなくなったというのは全く初めての経験だったので、現実とは思えないような、まさかこんな日が来るとはという気持ちでした。更に舞台公演は真っ先に中止すべきだという世の中の空気にも心が揺れましたね。僕らが作ってきたエンターティメントは何かの役に立っているんだろうか?を考えましたし、それは災害が起きた時にも思ったことだったのですが、エンターティメントでは具体的に言うとお腹を満たすことも、住む場所を提供することもできない訳です。でも心を満たすことはできるんだということを、僕たち表現する側が信じられなかったら、受け取る方々に信じて頂くことは絶対にできない。ですから僕たちがエンターティメントの灯を絶対に消してはいけないんだと強く思いました。

◆公演情報◆
『キオスク』
兵庫:2021年1月22日(金)~1月24日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
東京:2021年2月11日(木・祝)~2 月21 日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
静岡:2021年2月23日(火・祝) 静岡市清水文化会館 マリナート 大ホール
愛知:2021年2月25日(木) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
広島:2021年2月27日(土) JMSアステールプラザ 大ホール
オフィシャルサイト
[スタッフ]
作:ローベルト・ゼーターラー
翻訳:酒寄進一
演出:石丸さち子
[出演]
林 翔太、橋本さとし
大空ゆうひ、上西星来(東京パフォーマンスドール)、吉田メタル、堀 文明、
一路真輝、山路和弘
 
〈橋本さとしプロフィル〉
 1989年、劇団☆新感線にて俳優デビュー。1997年劇団☆新感線を退団後、舞台のみならず映像分野でも数々の作品で活躍。『ミス・サイゴン』や『レ・ミゼラブル』で主役を演じるなどミュージカルでの活躍が際立つが、ストレートプレイにも多数出演している。近年の主な舞台出演作品に、『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』、『偽義経冥界歌』、『Q:A Night At The Kabuki』、『メタルマクベス』disc1など。また、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)でレギュラーナレーションを務める。現在、映画『新解釈・三國志』(関羽役)が公開中。2021年5月からは、ミュージカル「ブロードウェイと銃弾」の出演を控えている。
オフィシャルホームページ

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

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