メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

『鬼滅の刃』は作者がメディアに出なくても大ヒット

中川右介 編集者、作家

2カ月ごとに2000万部!

「鬼滅の刃」最終巻などを買い求める客の列が店内を一周していた=2020年12月4日午前10時9分、東京・渋谷駅前のTSUTAYA渋谷店、拡大『鬼滅の刃』最終巻を買い求める客の列が店内を一周=2020年12月4日、東京・渋谷駅前のTSUTAYA渋谷店

 私が『鬼滅の刃』という売れているマンガがあると知ったのは、去年(2019年)だった。

 だが、読み始めたのは今年になってからだ。

 5月に、1巻から買おうと思って近くの書店へ行ったが、全巻は揃ってなく、その日、5月19日は店にあった5、6、20巻を買った。

 20巻が最新刊で5月13日発売、帯には「初版280万部達成!! 累計6000万部突破!!」とある。

 この時点では、Amazonにも新刊の在庫はなく、中古が定価よりも高値で売られていた。

 それから近隣の書店で見つけては買っていき、20巻まで揃ったのが6月13日。

 この頃、連載は終了し、23巻で終わることが「短い」と話題になった。

 7月3日に発売となった21巻は発売日に買えた。

 帯には「初版300万部達成!! 8000万部突破!!」とある。2か月で2000万部も売ったのだ。

 そして22巻は10月2日発売、映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』公開が16日。

 22巻の帯には「1億部突破!」とある。2か月でまた2000万部だ。

 映画が大ヒットしているさなかの12月4日、最終巻となる23巻が発売された。

 発売日の朝9時半に書店へ行ったときは、まだ荷をほどいて、積んでいるときで、その一冊を買った。夕方行ったら、もう売り切れていた。

 23巻の帯には部数は記されていない。報道によれば、初版395万部で、1億2000万部突破。すさまじい。

 出版物の売り上げは、ここ20年以上、前年同月比マイナスが続いているが、去年から、『鬼滅の刃』の新刊が出る月は前年比プラスのこともある。

 1点のマンガが出版統計全体を左右しており、これは村上春樹と『ハリー・ポッター』シリーズのそれぞれの全盛期以来だ。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

中川右介

中川右介(なかがわ・ゆうすけ) 編集者、作家

1960年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。2014年まで出版社「アルファベータ」代表取締役として、専門誌「クラシックジャーナル」、音楽書、人文書を編集・発行。そのかたわら、クラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲などについて、膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる独自のスタイルで執筆。著書は『カラヤンとフルトヴェングラー』『十一代目團十郎と六代目歌右衛門――悲劇の「神」と孤高の「女帝」』『月9――101のラブストーリー』(いずれも幻冬舎新書)、『山口百恵――赤と青とイミテイション・ゴールドと』『松田聖子と中森明菜――一九八〇年代の革命』(ともに朝日文庫)、『戦争交響楽――音楽家たちの第二次世界大戦』『SMAPと平成』(ともに朝日新書)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『角川映画 1976-1986(増補版) 』(角川文庫)、『怖いクラシック』(NHK出版新書)など50点を超える。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

中川右介の記事

もっと見る