青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト
1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
コロナ禍下のテレビの異様さに馴れ、コロナにも馴れてしまった一年
2020年のテレビ番組総括ということで、私の心に残った番組を5本挙げてみたい。感動とか感激とかいうものはもちろんであるが、呆れるとか腹がたつ、というのも含めての「心に残る」である。
つい先日も『エール』の終わり方の秀逸さについてこちらで書いたが、その後もジワジワとあの最終回の見事さを思い返している。ドラマの終わりではなくて、NHKホールでの“古関裕而コンサート”の、最終回。
『エール』の超上手な終わり方。やりすぎないことがとにかく大事!
15分で見事に盛り上げて完結させた、あのショーの演出家はすごい腕だと賞賛し続けたいし、15分のワクをきっちり守りながらああいうショーで終わらせたというアイディアも良いし、それが「いかにも蛇足」に堕さなかったのもえらい(古関裕而の楽曲がいちばんえらいのかもしれない)。
2020年のテレビを総括すればやはりコロナは避けて通れず、連続ドラマはモロにその影響をかぶったわけだ。『エール』がはたしてコロナでの中断によって、当初の内容から変更を余儀なくされたのか、それとも何の変更もなかったのか、それはわからない。でも、最終回の“古関裕而ショー”はやることに決まってたんじゃなかろうか。そしてたぶん、「東京五輪のあとに終わったエールの最終回」よりも「コロナで冬になって終わったエールの最終回」のほうが、あのコンサートを見る者にはグッときただろう。