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[2020年 テレビベスト5]テレビはどのように人の心を動かすか

コロナ禍下のテレビの異様さに馴れ、コロナにも馴れてしまった一年

青木るえか エッセイスト

第4位 『日本選手権競輪決勝地上波生中継(だったはずの競輪特番)』(日本テレビ系)

 これが、2020年に放映された何万本という番組の中で5本の指に入るのかと思うと自分がイヤになる。が、ホント、忘れられない番組だったんです。でも、こんな番組もう誰もおぼえちゃいないだろうし、製作者も出演者も見た人ももう忘れたいと思ってるにちがいない。

 説明すると、競輪最大のレースである「日本選手権競輪(ダービー)」の決勝を、地上波で放映する予定だったのに、コロナで中止になってしまい、しょうがないからスタジオで坂上忍や田中みな実や武井壮が一生懸命カラ元気で盛り上げ(いや、田中みな実だけはやる気のない死んだ目をしていた)、女子競輪選手の手洗い指導ビデオなどでつないだ、というモノ。

 これはコロナの影響が二重に及んでいて、というのも競輪はメジャーになることが悲願であり(私は競輪ファンですけど、それはムリじゃないかと思う……)、そのためにはオリンピックのケイリン競技でメダルを取ればなんとかなる!と思っており(たぶん。でも取ってもムリだと思う……)、東京オリンピックは「地元ニッポンで、悲願達成の舞台」として、開催が決まった瞬間からもう競輪関係者が前のめりになっていたのだ。それでここ何年も、競輪の地上波中継では、決勝レースそっちのけでケイリン競技に出る選手に密着していたりして、心ある競輪ファンからは苦々しく思われていたのである。

 そしたら東京オリンピックも延期……。

 まあ、延期だから来年また同じように盛り上げにかかるんだろうけど、それはそれとして、この中継は「五輪を控えて競輪界が皆さまに、“メダルを取るであろう素晴らしいアスリートをご紹介いたします!”」の場になるはずだったのに。それが

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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