大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター
演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
人生の「もう一つの選択」を描くブロードウェイミュージカル日本初演
――今回エリザベスを演じる柚希さんは共演していかがですか?
柚希さんと二人でリズとジョッシュとして演じているときはとても自然な空気感ですね。今はマスクをして稽古をしているので、みんな目元しか見えないんです。でも、目が可愛いなと思いますね(笑)。普段の柚希さんは、ふわっとしていてみんなと進んでいる時間が違って、ゆったりゆっくり。すごく癒されるんです。でも黙って立っていると、めちゃめちゃカッコいいじゃないですか。そんな柚希さんと至近距離で歌ったり台詞を交わしているときの視線の落とし方などを見ると「あ、こんな表情をするんだ」と思ってキュンとしています(笑)。
――エリザベスは都市計画の仕事に打ち込む強い女性。そんなエリザベスをジョッシュがあたたかく支えるという関係性がとても良いなと、ブロードウェイで観劇したときに思いました。
柚希さん自身が役と重ねられるところが結構あるとおっしゃっていたんです。強さを持って仕事に打ち込むリズの心の中にジョッシュがどうやって入り込んでいくかを描いていけたらと思いますね。ジョッシュの登場がポイントで限られているので、いかにジョッシュがリズの選択に影響を与えているのかを納得していただくのが難しいところだなと思っています。今回は二通りの人生の話が進むので、リズの場面というのは通常の上演時間の半分しかないということになる。その中で関係性を築いてしっかりお客様に印象を残していくのが難しいだろうなと思うし、これから考えていかないといけないところだなと思っています。
――楽曲についてはどんな印象ですか。
2幕序盤でジョッシュが歌うナンバーが大好きで、それをしっかりお届けできるようになりたいなと思っています。もともと(ブロードウェイのオリジナルキャスト)イディナ・メンゼルさんに合わせて作られた楽曲なので、全曲キーが高いんです。デュエットで歌う曲は音域の幅も問題ですが、いきなり高い声を出して前後の芝居との違和感がないようにするのが難しい。そこが自分では苦労しているところです。
――共演のカンパニーの皆さんはいかがですか。
今回、僕と共演経験があるのがシルビア・グラブさんと藤田玲君だけで、ほぼ全員が「初めまして」なんです。メインキャストはほとんど30代以上のカンパニーなので落ち着いているし、とても良い雰囲気ですね。僕は個人的に柚希さんはもちろん、平方元基くんと共演できたのが嬉しいんです。いつ共演してもおかしくない距離感にいたと思うんですがなかなかなくて、今回初めてご一緒させてもらって個人的には勝手に仲良くなっているつもりでいます。彼はすごく明るくて僕と対照的な部分もあるんですが、根本で抱いている気持ちが一緒の気がする。役者をやっている35歳同士、感じることや共鳴できる部分があって。平方元基という俳優と同世代に生まれ、こういう出会い方をして今共鳴できていると思えることに嬉しくなったし、共演できてよかったなと思います。
◆公演情報◆
※最新の公演情報は公式ホームページをご確認ください
ミュージカル『イフ/ゼン』
東京:2021年1月16日(土)18時公演~2月1日(月) シアタークリエ
※公演予定期間が変更されています。公式サイトでご確認ください
愛知:2021年2月4日(木)~2月5日(金) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
大阪:2021年2月11日(木・祝)~2月14日(日) 梅田芸術劇場 シアタードラマシティ
公式ホームページ
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[スタッフ]
音楽:トム・キット
脚本・歌詞:ブライアン・ヨーキー
演出・訳詞:小林 香
[スタッフ]
柚希礼音、平方元基、シルビア・グラブ、東山義久、廣瀬友祐、吉沢梨絵、藤田 玲、青野紗穂 ほか
〈廣瀬友祐プロフィル〉
東京都出身、山梨県小淵沢育ち。舞台を中心に役者として活躍しながら音楽活動も行っている。主な出演作に、『フラッシュダンス』、『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2、『ファントム』、『ロミオ&ジュリエット』、『るろうに剣心』、『1789 -バスティーユの恋人たち-』『屋根の上のヴァイオリン弾き』などがある。2019年11月にミニアルバム「cherisH」をリリース。2020年1月には名古屋・大阪・東京の3会場でライブツアーを行い、その東京公演の模様を収めたLIVE DVD「廣瀬友祐 Live tour 2020~cherisH~」もリリースされた。
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