メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

[2020年 本ベスト5]討議か敵対か

アゴニズムには論敵を翻意させる可能性がある

福嶋聡 ジュンク堂書店難波店店長

「行動する保守」とフェミニズムとの接続可能性

鈴木彩香の『女性たちの保守運動――右傾化する日本社会のジェンダー』(人文書院、2019年12月)拡大鈴木彩香『女性たちの保守運動――右傾化する日本社会のジェンダー』(人文書院)

 鈴木彩香の『女性たちの保守運動――右傾化する日本社会のジェンダー』(人文書院、2019年12月)が考察する「行動する保守」の女性たちが「慰安婦」問題と「男女共同参画社会」を批判のターゲットにすることには、「行動する保守」の側の事情がある。それは、その2つの案件が、いずれも男性活動家にとっては正面から批判しにくいものであることだ。そこで、女性活動家の出番となるわけだ。

 とはいえ、「行動する保守」の女性たちの側にも、「主体的」な動機がある。

 「なぜ売春婦だった慰安婦女性だけが政府や組織からサポートされるのか」

 彼女らは、元「慰安婦」女性が経済的に恵まれていると思い込み、妬むのである。その種の言論は「売春婦」差別に基づいたものが多く、「恥」という言葉が多用される。

 だが、「行動する保守」の女性たちが、「慰安婦を連れてきて恥を撒き散らさせるのも、それこそ慰安婦の人権を無視して踏みにじっていることになると。私たちは、そういう慰安婦の人権を無視する日本人、そして韓国の人たちを女性として許せない」と言うとき、彼女らは、むしろ元「慰安婦」に同情・共感していると言える。

・・・ログインして読む
(残り:約3217文字/本文:約4564文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

福嶋聡

福嶋聡(ふくしま・あきら) ジュンク堂書店難波店店長

1959年生まれ。京都大学文学部哲学科卒。1982年、ジュンク堂書店入社。サンパル店(神戸)、京都店、仙台店、池袋本店などを経て、現在、難波店店長。著書に『希望の書店論』(人文書院)、『劇場としての書店』(新評論)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

福嶋聡の記事

もっと見る