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[2020年 映画ベスト5]忖度なしの本気セレクト!

『スパイの妻<劇場版>』、『イップ・マン 完結』……

藤崎康 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

ベスト5

『スパイの妻<劇場版>』(黒沢清) 
 戦前、戦中の神戸を舞台に、おぞましい国家機密を知った貿易商の夫(高橋一生)とその妻(蒼井優)の葛藤と行動を、サスペンス豊かに描いた歴史ミステリーの傑作。本作から学ぶべきは、市民が国家権力の狡知(こうち)に抗するには、自らもまた国家の裏をかく周到な戦略/共謀が必須だということ。精緻な脚本設計による二転三転四転の展開や、映画内映画などの小道具/仕掛けの卓抜さもお見事!(2020・10・15同・10・16の本欄参照)

黒沢清『スパイの妻<劇場版>』 ©2020 NHK、 NEP、 Incline、 C&I//配給:ビターズ・エンド/配給協力:『スパイの妻』プロモーションパートナーズ拡大『スパイの妻<劇場版>』 ©2020 NHK、 NEP、 Incline、 C&I/配給:ビターズ・エンド/配給協力:『スパイの妻』プロモーションパートナーズ

『イップ・マン 完結』(ウィルソン・イップ)
 ご存じ、ドゥニー・イエン扮する詠春拳の達人、「イップ・マン」シリーズの最終章。クライマックスの、イップと白人至上主義者の米海兵隊軍曹との闘いに至るまでの展開が、見る者の琴線に触れ、興奮&感涙必至!(2020・07・16の本欄参照)

『イップ・マン 完結』(イップ・マン/ドニー・イェン) 東京・新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開/配給:ギャガ・プラス/© 2019 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved拡大『イップ・マン 完結』 配給:ギャガ・プラス/© 2019 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

『Mank/マンク』(デヴィッド・フィンチャー)
 オーソン・ウェルズ『市民ケーン』製作の舞台裏を、脚本家ハーマン・J・マンキーウィッツ=マンクを主人公にして描いた伝記映画の逸品だが、映画界の大物らが複雑怪奇なドラマを織りなす点で、1930~40年代のハリウッドの裏面史としても非常に興味深い。Netflix製作でフィンチャー6年ぶりの商業映画(2020・12・11の本欄参照)。

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筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

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