人生で2度「嵐」に見舞われた私が、紅白歌合戦で最後の最後に気づいたこと
2021年01月05日
実は同じジャニーズの「SMAP」ほどには、私は「嵐」のことはよく知らない。しかし、これまでの人生でその「嵐」に見舞われたことが2回あり、いずれの出来事も今でも鮮明に覚えている。
一つ目は北海道の旭川に出張で出かけていたときのことだ。いつもはそれほど混雑しない旭川のホテルがそれこそ満室だらけになっており「旭川で何かあるんですか?」と地元の人に尋ねたところ「嵐のコンサートが“札幌である”のでここまでファンが来てるんですよ」という話だった。旭川と札幌は140キロあり、特急電車でも1時間半かかる距離である。「とにかく何でもいいから同じ北海道に辿り着いておきたい!」というファンがそんなにたくさんいるのか!と私は初めて嵐のすごさを知ることとなった。
もう一つは、とある学会の大会に参加するための準備をしているときのことだった。9月というのは季節柄、多くの学会が大会を行うゴールデンシーズンである。毎年、9月に大会を開いていたその学会はその年は「仙台市」で開催が予定されていた。春頃から宿の予約などを始めるのが常だが、5月か6月頃だったか、まだ学会までは数か月あるというタイミングで旅行代理店から「仙台市内のホテルが全く押さえられないので、山形市内のホテルしか斡旋できません」という連絡がきたのだ。「山形と仙台を往復するバスを出しますので、ご了承ください」と言うが、両市は70キロ離れており、快速電車で1時間強かかる距離だ。
「え? 一体何があったの?」と調べたところ、そこに「嵐」の文字が浮かび上がってきた。嵐のコンサートの日程が被ったのだ。もっと正確に言えば、嵐のコンサートが仙台市で開催されるということが発表された瞬間にホテルが全部埋まったというのだ。
「また、嵐!?」と驚くのは早かった。その年は、私が知る範囲、覚えている限りにおいて、嵐と開催日程と場所がバッティングしたという理由で、とある学会は開催場所を変え、とある学会は日程を変えたのだ。全国各地へ数多く出張してきている私もこのような理由でホテルが取れないということは後にも先にもこの1回であった。
「嵐、すごし」。私の頭に刻印された。
ちなみに、他のアーティストのライブでこのような事態に見舞われたことは私個人は一度もない。
ファンの方には申し訳ないが、私自身はそれほど彼らの歌を知っている訳ではない。「彼らのどこがいいのだろう?」と素朴に疑問に思っていたところ、久しぶりに会った学生時代の女友だちが子育ても一段落した後、嵐のライブというライブにはとにかく行きまくっているという話を聞いて、「何が魅力なの?」と問うてみた。「歌がうまいから」とか「踊りが上手だから」みたいな答えが返ってくるかと思いきや、チケットが取れていなくても、上海だろうがどこだろうが嵐を追いかけてどこまでも行くという彼女の答えは「嵐の5人がステージの上でとっても仲良くしているのを見るのが好き」ということだった。
その答えを聞いて、当時の私はその「意味するところ」が正直よくわからず、「ふーん、そうなんだ……」とわかったような、わからないような、たぶんそんな顔をしていたと思う。
その後、すこーし注意して嵐のメンバーをテレビで見たりはしていたが、ファンになるとか、ライブに行くとかそういうことになるほどではなかった。ごく普通のジャニーズの1グループとして見ていただけだった。
そんな2019年1月のある日、突然嵐が「2020年12月31日で活動を休止する」というニュースが一斉に報じられた。「え、あの嵐が!?」とファンではない私もびっくり仰天した。そして、SMAPの解散にまつわる一連の騒動を思い出さずにはいられなかった。
SMAPは、
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