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声を出さない「掛け声」、お客様の期待を肌で感じて

沢村豊子師匠のルーツでもある佐賀で

玉川奈々福 浪曲師

佐賀の席亭、心意気が「浪花節」

拡大沢村豊子師匠(左)と筆者
 11月末。佐賀公演。

 毎年、秋には九州巡業があって、各地域のお席亭が相談して、コースを組んでくださるんです。熊本、長崎、久留米、佐賀、福岡……今年も、長崎→佐賀→福岡の、2泊3日の浪曲旅芸人の予定だったのですが、長崎と福岡が中止になってしまった。

 だから、佐賀も無理だろうと思っていました。

 だって。

 私たち一行は3人。奈々福と豊子師匠と、後見の弟子1人。そのノリ賃(交通費)と宿泊費。会場はいっぱい入れても100人ちょっとの場所。1000人も入るようなところではないのです。それを、1か所の興行で持つのは大変です。

 「それでも、奈々福さんを待ってるお客さんがいるんです」

 ……お席亭のTさんの、その心意気。なんという浪花節的な!

 でも、こんな状況で、その100人のお客さんを、集められるのだろうか。

 感染拡大がおさまらない東京から行って、嫌われるんじゃなかろうか……。

 不安に思いつつ、羽田空港からひょいとひととび。

 空港から、車で、佐賀市内へ。

 毎年呼んでもらって、もう5年になります。

 佐賀には特別な思いがあります。

 佐賀は「沢村豊子」発祥の地なんです。

 沢村豊子……もう足かけ18年、私を弾いてくれている名人のお師匠さんです。

 前々から、佐賀に来たら、一度訪問したい場所がありました。

 佐賀劇場跡。

 佐賀市に、かつて佐賀劇場という劇場がありました。残された写真を見ると、とても洒落た立派な劇場です。外観は洋館風。中は、昔ながらの畳敷きの升席で、400人以上収容できる劇場だったそうです。

 浪曲はとくに人気で、関東関西の一流浪曲師が、興行を行い、「佐賀で浪曲の興業をやって損したことがない」と言われたそうです。

 残念ながら昭和41年に閉場し、いまはあとかたもありませんが、なにを隠そう、ここが「沢村豊子発祥の地」。

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筆者

玉川奈々福

玉川奈々福(たまがわ・ななふく) 浪曲師

横浜市生まれ。出版社の編集者だった94年、たまたま新聞で浪曲教室のお知らせを見て、三味線を習い始め、翌年、玉川福太郎に入門。01年に曲師から浪曲師に転じ、06年、玉川奈々福の名披露目をする。04年に師匠である福太郎の「徹底天保水滸伝」連続公演をプロデュースして大成功させて以来、数々の公演を企画し、浪曲の魅力を広めてきた。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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