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舞台『Oslo(オスロ)』に出演 安蘭けいインタビュー/上

竹のようにたおやかさのある女性として捉えている

橘涼香 演劇ライター


 2017年にトニー賞演劇作品賞をはじめ、オビ―賞、ドラマ・デスク賞など数々の演劇賞を総なめにして、アメリカ演劇界を席巻した話題作『Oslo(オスロ)』(以下、『オスロ』)が、2021年2月6日~23日まで東京・初台の新国立劇場 中劇場での上演を皮切りに、宮城、兵庫、福岡、愛知で上演される。

 長く緊迫した状況にあった中東イスラエルとパレスチナの指導者が、初めて和平交渉に合意した「オスロ合意」。現代史の中でも、奇跡の瞬間と称されるこの史実をもとに、和平交渉に至る道程に邁進し続けた人々を描いたこの作品は、ニューヨークに続いてロンドンでも上演。今回の公演が満を持しての日本初演となり、主人公の社会学者テリエ・ラーシェンにミュージカル作品等で圧倒的な存在感を示してきた坂本昌行が扮するのをはじめ、幅広い役柄を硬軟自在に演じ分ける福士誠治、A.B.C-Zのメンバーとしてのライブはもちろん、バラエティー番組でも躍進している河合郁人など、多彩なキャスト陣が集結。理想を求めて世界を変えようとした人々が紡ぐ人間ドラマが展開されていく。

 そんな作品で、テリエの妻であり自身が外交官でもあるモナ・ユールを演じるのが安蘭けい。どんな困難やリスクを前にしても、信じるものに向かって突き進んでいく人々の物語の、ストーリーテラーとしての側面もある役柄をどう感じ、どう演じようとしているのかを、自身の正義感や思いも交えながら語ってくれた。

舞台と客席の橋渡しをする役割

拡大安蘭けい=岩田えり 撮影

──本邦初演の舞台『オスロ』ですが、まず作品をどう感じていらっしゃるかを教えて下さい。

 日本に住んでいる私達には、なかなか理解が難しい紛争がテーマになっていて、台本を一度読んだだけでは全てがわかったとは言い難い部分もあったんです。もちろん私が知らなすぎたということもあるとは思うのですが、ご覧頂くお客様の中にも「オスロ合意」の歴史的な意味を、詳しくはご存知ないという方もいらっしゃるのではないかと思います。しかも現在でも解決できていないことがたくさんあるので、「今、この時」に起きている問題を舞台化する大変さは正直感じています。何よりもまず私自身が深くテーマを理解しないと演じられないことなので、一つひとつ噛みくだいて演じていきたいです。

拡大安蘭けい=岩田えり 撮影

──こうした問題はついつい遠い異国の出来事と思ってしまいがちなだけに、演劇という形で見せて頂けるありがたさを感じますが、特に安蘭さんが演じられる外交官のモナ役は、そういう歴史上の難しい部分や、物語の展開をしばしば客席に直接語りかけてくれる役柄でもありますね。

 他の登場人物たちと会話をしつつ、パッと客席に「今のはこういう意味で」というように語るので、演じる上では切り換えの難しさもありますが、あくまでも役としてではありながら、舞台と客席の橋渡しをするというもうひとつの役割も担っていて。そこはこの作品においてとても大切なところになるなと感じます。

──ここで語りかけてくれると、客席にいてわかりやすいだろうなと想像できます。

 「えっ?どういう意味?」と思ったままお話が進んでしまうと、おいてきぼりになってしまうこともあると思うので、そこを少しでも緩和できたら良いですね。

◆公演情報◆
舞台『Oslo(オスロ)』
東京:2021年2月6日(土)~2月23日(火祝)  新国立劇場 中劇場
宮城:2021年2月27日(土)~2月28日(日)  東京エレクトロンホール宮城
兵庫:2021年3月3日(水)~3月7日(日)  兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
福岡:2021年3月13日(土)~3月14日(日)  久留米シティプラザ ザ・グランドホール
愛知:2021年3月20日(土)~3月21日(日)  日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作:J・Tロジャース
翻訳:小田島恒志・小田島則子
演出:上村聡史
[出演]
坂本昌行、安蘭けい、福士誠治、河合郁人
横田栄司、石田圭祐、那須佐代子、石橋徹郎、佐川和正、チョウ・ヨンホ、駒井健介、吉野実紗
相島一之、益岡徹
 
〈安蘭けいプロフィル〉
 1991年宝塚歌劇団に首席で入団し、2006年星組男役トップスターに就任。2009年退団。退団後も、舞台を中心にライブコンサート、TVドラマ出演等、幅広く活躍する。『サンセット大通り』『アリス・イン・ワンダーランド』の演技に対して、第38回菊田一夫演劇賞受賞 。近年の主な舞台出演作に、ミュージカル『ビリー・エリオット』、『inseparable 変半身』、『HAMLET —ハムレット—』、『マン イスト マン』、『民衆の敵』『レインマン』『リトル・ナイト・ミュージック』など。
公式ホームページ
公式instagram

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

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