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美智子さまの“ご懸念”は小室圭さんではない。「魂の叫び」でわかったこと

矢部万紀子 コラムニスト

 1月12日と15日に皇居・宮殿で予定されていた「講書始の儀」「歌会始の儀」が延期になった。天皇、皇后による歌の公表が見送られた1日、「新年祝賀の儀」は開かれたが、例年と違い、女性皇族はティアラを着用しなかった。2021年、皇室はすっかり「新しい行事様式」になっている。

 1日午前5時半、天皇のビデオメッセージが公表された。例年なら1日に「天皇陛下のご感想」を文書で公表、2日に一般参賀で「おことば」を述べる。が、一般参賀がとりやめになったので両方を兼ねたビデオメッセージとし、新年の宮中祭祀「四方拝」の開始時間に合わせて公表した。「新しい行事様式」と「従来の儀式様式」、その折半だろうか。

皇居に入る天皇、皇后両陛下=2021年1月1日午前9時18分、皇居・半蔵門、代表撮影
皇居に入られる天皇、皇后両陛下=2021年1月1日、皇居・半蔵門、代表撮影

 新型コロナウイルス中心のメッセージだった。亡くなった人を悼み、医療従事者らをねぎらい、感染者らへの差別などを懸念し、最後に国民を励ます。「優等生の手による無難な文章」と感じたのは、憲法で「国政に関する権能を有しない」と定められている存在として無理からぬことと思う。「感染症の感染拡大防止と社会経済活動の両立の難しさを感じます」という表現などその典型だと承知している。

 だが、しかし。「魂の叫びがあったらよかったのになー」と思う私がいる。心に訴えてかけてくる言葉、つい聞き入ってしまう言葉。「そんなもの、天皇から出せるのか」という問いかけには、「あるのだ、これが」と答える。という話をしていくのだが、その前に。

雅子さまのことになると、陛下は……

新年ビデオメッセージ天皇・皇后両陛下による新年ビデオメッセージ=宮内庁のサイトより

 ビデオメッセージにおける陛下の「魂の叫び」は、雅子さまの同席だったと思う。6分45秒、最初から最後まで2人がまっすぐ前を見る映像だった。まずは陛下が「皆さん、新年おめでとうございます」と挨拶、雅子さまが「おめでとうございます」と続いた。陛下の本題のあと、最後に再び雅子さま。豪雪など陛下とは違う分野に言及、「どうぞ皆様くれぐれもお体を大切にお過ごしいただきますように」と締めくくった。

 「横並び」はある程度、予想していた。20年4月以来コロナ関連の専門家による「ご進講」があるたび、陛下と雅子さまは必ず横並びに座っていた。「お二人対等な令和流」と話題になったから、踏襲するのではと思ったのだ。問題は雅子さまが「座っているだけ」か、「挨拶はする」か、「メッセージも発する」か。どれになるかでインパクトが全然違う。

 結果は「メッセージも」だった。「学ぶ」はお堀の内側での内面的行為だが、「メッセージ」はお堀の外側に開く行為。陛下は雅子さまというパートナーの存在を、外にというか世界にというか、とにかく大いに発信したいのだと理解した。素晴らしい。

 私はかねて、陛下と雅子さまを「真面目な優等生同士」と書いてきた。失礼を承知で下世話な表現をするなら、

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