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コロナ罰則を設ければ感染者はむしろ増えるかもしれない

感染防止よりもルール遵守が目的と化した政治家たち

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、特別措置法の改正に向けた協議が始まっています。

 政府・与党は、「強制力を付与することによって、より実効的な対策を可能にしたい」(菅首相)と、罰則導入に積極的な姿勢を示しており、事業者が都道府県知事の「命令」に従わない場合は、過料を科す政府原案が提示されました。また、都道府県知事による入院の勧告や、自宅もしくは宿泊施設での療養の要請に応じない感染者に対しても、罰則を設ける方針を固めたようです。

 この動きに対して、野党をはじめ、様々なところから、「強制手段を取るには十分な補償が前提だ」(立憲民主党・泉健太政調会長)等、否定的な声が上がっています。

軽症者が療養するシングルルーム=2020年12月23日午前11時35分、徳島県牟岐町拡大新型コロナウイルスに感染した軽症者が療養するシングルルーム=2020年12月23日、徳島県牟岐町

政府が規制を使いこなせるとは思えない

 確かにその通りだと思いますが、強制力を持たせてはならない大きな理由がもう一つあります。それは、政府や自治体に、「規制を上手く使いこなす能力」が大きく欠如しているからです。病気に対して間違った薬を投与しても効果が得られないように、課題に対して正しく作用する規制を敷かなければ、政策的効果は得られません。それどころか、“副作用”のほうが大きくなることもあります。

 療養している自宅や宿泊施設を抜け出す感染者に対する罰則は、まさにこの“副作用”が大きい政策でしょう。軽症者や無症状の人が外出する事例が後を絶たないために、罰則という強制力が必要だと政府は考えているようですが、どうして彼らは抜け出すのでしょうか? それは本当にエゴイスティックな行為なのでしょうか?

 きっと所得や貯金が少なく、「今を生きていくために、療養の要請になんて応じていられない」という人もいるでしょう。育児や介護等、誰かのケアをしなければならない立場のために、抜け出さなければならない人もいるはずです。売り上げ規模を完全に無視し、協力金を店舗単位で一律に配っている政治家たちに、そういう社会的弱者に対する複雑な免除制度を公正に設計できるとは思えません。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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