メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

豪雪のソウル、マイナス19度の夜。私は車を放置して家路へついたが……

ミン・ヨンチ ミュージシャン 韓国伝統音楽家

「今日中に車を動かすのは無理」

 お店を出る。なんと雪が短時間で10センチ以上も積もっているではないか!!

 大変だー!! 私は車で来ている。お酒を飲んだので、韓国では当たり前の代行運転を頼む予定だった。代行運転に電話をかける。受け付けはしてくれたが、今は運転手がいないという。普段こんなことはない。雪のせいだ。代行運転手も雪の中で運転をしたくない。安全のため運転をしないのである。

 この間も雪はどんどん降り続き、一緒に食事していた友人たちが、これはもう今日中に車を動かすのは無理だから、お店に言って、明日取りに来るようにした方がいいと言う。

 長年ソウルにいた経験から、あの豪雪での車の走行は無理だ。

拡大Stock for you/Shutterstock.com

 外は白銀の世界。降り積もった雪の中をゆっくり歩いていると思い出した。高校生の時、朝5時に起きて家を出ると、まだ誰も踏んでいない雪を最初に踏むことが出来て足跡をつけるのだ。そしたら次の人はたいていその足跡の上をなぞって歩く。その時に友達から雪で凍っている道の歩き方も教わった。

 地下鉄に乗ると、コロナ禍で最近はガラガラの電車の中も、この日は人がいっぱいだった。バスやタクシーは全滅なのでみんな地下鉄に群がったのだ。

 地下鉄での帰路は、乗り換えもあり、1時間くらいかかる、そして最寄りの駅から私の家までは徒歩20分くらい。外は約マイナス19度。下手すると、ヤバイ……。

 妻にメールする。カンナムがこういう状況だから、地下鉄に乗ったが、最寄りの駅から家までのタクシーはない。

 そっちはどう? と妻にメールを打つと、こっちは雪は降っているが、まだ大丈夫、運転可能だと返ってきた。

 私の家はイルサンという所で、豪雪のカンナムからは離れている。イルサンの方はもしかしたら大丈夫かな?という予感が当たった。それに妻は運転が非常にうまい。

 迎えの車に乗り、外を見ると道路は除雪車で雪が整理されていたが、歩道は雪でぐちゃぐちゃに荒れていた。この中で歩くと下手すれば、家まで小一時間はかかっていたかもしれない。マイナス19度の中は恐ろしい。

 やはり、バス・タクシーは全滅。妻が車で駅まで迎えに来てくれて助かった。家に帰れたのが本当にうれしかった。なにせ今年の韓国の冬は北極寒波がやってきているらしく、へたすると命取りになりかねない。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

ミン・ヨンチ

ミン・ヨンチ(閔 栄治) ミュージシャン 韓国伝統音楽家

大阪生まれ。幼少の頃からブラスバンドやドラムを経験し、高校から韓国へ。旧李王朝雅楽部養成所であった国立国楽高等学校に入学、ソウル大学音楽学部国楽科卒。1992年サムルノリ競演大会個人部最優秀賞。1992年国楽室内管弦楽団「スルギドゥン」に入団。1993年スーパー・パーカッション・グループ「PURI」創団メンバー。イ・ムンセ(歌手)のテレビ番組にも出演。現在も韓国伝統音楽とジャンルの違う音楽とのコラボレーションに活動中で、2009年に立ち上げた公演「新韓楽」ではジャズとコラボ―レーションした。日韓両国で数多くの公演。アルバム「HANA」(2015年/ユニバーサルミュージック・ジャパン)をリリース。ライブでは日本全国3万人を動員。国楽管弦楽の作曲にも力を入れ、2014年韓国文化芸術委員会で作曲賞受賞。「大衆に楽しんで聞いてもらえる楽曲作り」を目指す。現在、韓国芸術総合大学、梨花女子大学、秋藝芸術大学講師。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

ミン・ヨンチの記事

もっと見る