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舞台『キオスク』に出演 大空ゆうひインタビュー/下

きっと何かを持って帰って頂ける作品

橘涼香 演劇ライター


舞台『キオスク』に出演 大空ゆうひインタビュー/上

むしろ忘れていないんだということに気づかされる

──簡単に少年の成長物語と言ってしまうには、あまりにも過酷な経験が描かれている作品ですが、その中でも全く新しい土地にやってきた少年の目から見えた世界というところで、大空さんのご経験から共感できる部分などはどうですか?

 もちろんあそこまでの状況を体感したことがある人と言うのは、私達の世代では殆どいないと思うのですが、今の私の年齢から見ても、この作品の主人公のピュアなものを、人間として共感する部分があります。色々なものに揉まれて大人になってきましたけれども、根底としてはどこかにそれが残っているんだなと。だからこそ彼の言動は、自分が17歳の時ってどうだったんだろうという郷愁ではなくて、今の自分にすごく刺さってくるんですね。

 これはきっとお客様の心にもきっと何か刺さるものがあるだろうと思います。あまりにも瑞々しくて、私達が忘れていたことを思い出すということもあると思いますが、むしろ忘れていないんだということに気づかされると言うか。人間にとって一番大事なものってあると思うのですが、時代の流れの中に巻き込まれていってしまう「個人」が「大衆」になった時の怖さみたいなものって、今、この令和の時代に私達が置かれている状況の中でも目にすることですよね。そこに重なる部分があります。

拡大大空ゆうひ=岩田えり 撮影〈ヘアメイク:大宝みゆき/スタイリスト:SAKAI〉

──今はSNS等がある意味で発達し過ぎてしまっていて、そこからの同調圧力というようなものを感じることも多いので、この作品が実際に歴史の中で起きたことを描いてくれることによって、感じることもおっしゃるようにとても多いと思いますが、作品のタイトルにもなっている「キオスク」(タバコ店)は、皆さんが日常を過ごせる場所ですが、大空さんにとってそういう場所はありますか?

 私にとってのその場所は稽古場なんです。十代の頃から、特に約束しなくても必ず皆に会える場所が稽古場で。ただ今は稽古場でも憩えなくなっているので。

──あぁ、そうですよね、なるたけ私語も控えてという状況ですから。

 そうなんです。でもだからこそ、思想の違いなどに関わらず、人間らしくいられる場所、人と人とが交流できる場所って大切だなと感じます。私はとても平和に時代に生きてこられた世代だと思いますが、コロナ禍に見舞われた中で、当たり前だと思っていた憩える場所というのは、人間である為にとても大事なんだと感じます。

◆公演情報◆
『キオスク』
兵庫:2021年1月22日(金)~1月24日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
東京:2021年2月11日(木・祝)~2 月21 日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
静岡:2021年2月23日(火・祝) 静岡市清水文化会館 マリナート 大ホール
愛知:2021年2月25日(木) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
広島:2021年2月27日(土) JMSアステールプラザ 大ホール
オフィシャルサイト
[スタッフ]
作:ローベルト・ゼーターラー
翻訳:酒寄進一
演出:石丸さち子
[出演]
林 翔太、橋本さとし
大空ゆうひ、上西星来(東京パフォーマンスドール)、吉田メタル、堀 文明、
一路真輝、山路和弘
 
〈大空ゆうひプロフィール〉
 1992年、宝塚歌劇団に入団。月組、花組に所属後、2009年宙組トップスターに就任。『銀ちゃんの恋』『カサブランカ』『誰がために鐘は鳴る』『ヴァレンチノ』等、数々の話題作に主演し、2012年7月に宝塚歌劇団を退団。以降、舞台を中心に活躍。最近の出演作品は、『sound theaterⅩ-Ⅰ』『銀河鉄道の父』、朗読劇『日の名残り』、『鎌塚氏、舞い散る』、『めんたいぴりり~未来永劫編~』、劇団た組『今日もわからないうちに』など。
オフィシャルサイト
公式twitter

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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