メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「慰安婦」裁判で日本政府は「主権免除」を韓国に主張できない

「慰安所」経営は「主権行為」だったと認めるか?

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

 2021年1月8日、元日本軍慰安婦が反人道的被害に対する損害賠償を求めて提訴した裁判の判決が、ソウル中央地裁で出された。それは、日本政府へ1人あたり1億ウォン(約950万円)の賠償金の支払いを命じるものだった。

 だが当事国である日本の外務省は、同日、駐日大使を通じて韓国政府に対して次のように「伝達」した

 「……ソウル中央地方裁判所が、国際法上の主権免除の原則を否定し、原告の訴えを認める判決を出したことは、極めて遺憾であり」云々(強調筆者)。

日本政府に元慰安婦への賠償を命じた判決が出た後、取材を受ける原告の弁護士=2021年1月8日

拡大日本政府に元慰安婦への賠償を命じた判決が出た後、取材を受ける原告の弁護士=2021年1月8日

 これまで日本政府は、事あるごとに韓国は「国際法に違反している」と、くりかえしてきた。だが例えば「徴用工」問題では、国際法に違反しているのはむしろ日本政府であると、私は以前に論じた。

 今回はどうなのか?

 今回は、漠然と「国際法」と言うのではなく、「国際法上の主権免除」と外務省は述べた。それは何を意味するのか。

 なお以下、繁雑になるのを避けるため、「慰安婦」「慰安所」は括弧をつけずに記す。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

杉田聡の記事

もっと見る