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森喜朗氏発言問題から学ぶこと――昭和の文化を背負って令和を生きる難しさ

野菜さらだ コラムニスト/言語聴覚士

一番驚いているのは森氏本人かもしれない?

 東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会会長の森喜朗氏(83歳)の問題発言が国内のみならず、海外でも大きな問題になっている。日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性の多い会議は時間がかかります」などと発言したことが女性蔑視だとの批判を受けたのだ(「森喜朗会長の失言に批判殺到『女性の多い会議は時間がかかります』ライブドアニュース)。

 今回の一連の報道に一番驚いているのは、もしかすると森氏ご本人ではないだろうかと思いつつ各種報道を見ている。「妻に、娘に、孫娘に叱られた」と語るその姿は、憐れにも見える元首相である。「もうボランティアをやりたくない」という訴えも噴出しているという(「『ボランティアやる気なくなった』 森会長女性蔑視発言 東京都に抗議殺到」ライブドアニュース) 。

森喜朗氏の発言は、「令和の時代」にはそぐわなかった拡大森喜朗氏の発言は、「令和の時代」にはそぐわなかった

 「あの発言が何でこんな騒ぎになるんだ!?」。本当はそうおっしゃりたいのかもしれない。たぶん、ご本人は感じたことをそのまま率直に表現しただけということなのだろうとその様子からは推測される。

 しかし、先の発言は「令和の時代」にはそぐわないものだということに気付けなかった。そこに森氏と今の社会の認識の間隙(ズレ)があったのだ。

 この発言問題の第一報を聞いたとき、私はてっきりクローズな会議でうっかり本音を言ってしまわれたのか? と思ったのだが、なんとオンラインで報道陣にも公開された場での発言だったということを知り、逆にこちらも仰天したくらいである。「今、これを言ったらまずい」というフィルターが本当に働いていなかったのでは……と思わずにいられない。


筆者

野菜さらだ

野菜さらだ(やさいさらだ) コラムニスト/言語聴覚士

本名・三田地真実(星槎大学大学院教育学研究科教授) 教員、言語聴覚士として勤務後、渡米。米国オレゴン大学教育学部博士課程修了(Ph.D.)。専門は応用行動分析学・ファシリテーション論。2016年からオンライン会議システムを使ったワークショップや授業を精力的に行っている。著書に『保護者と先生のための応用行動分析入門ハンドブック』など。教育雑誌連載と連動した 「教職いろはがるた」の動画配信中!

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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