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『MIYA COLLECTION』開幕間近!美弥るりか取材会レポート

自分の魂や生き方を磨き、観て下さる方に幸福感を届けたい

橘涼香 演劇ライター


 宝塚歌劇団月組の男役スターとして大きな軌跡を残した美弥るりか。多くの人を魅了し続けた、美しくまた神秘的な佇まいは、退団後更に自由に羽ばたき「美弥るりかという表現者」として、独自の境地を示して新たなる道を突き進んでいる。

 そんな美弥を中心としたエンターティメントステージthe wonder『MIYA COLLECTION』が、2月19日~21日大阪・梅田芸術劇場メインホール、2月25日~28日東京・日本青年館ホールで幕を開ける。当初は昨年、2020年2月に上演予定だったが、新型コロナウィルス感染拡大の為に一旦中止となっていた待望のステージの開幕だ。

 その舞台に臨む美弥るりかが都内で取材会を開き、一年の時を経て上演される公演への思いや、演出の河原雅彦、日替わりゲストの東山義久、伊礼彼方、平方元基に感じる魅力などを語ってくれた。

この一年間の歩みを皆様にも実感していただける

拡大美弥るりか=宮川舞子 撮影

──当初の予定から一年を経ていよいよ『MIYA COLLECTION』が全貌を表すことになった、いまの心境からお聞かせ下さい。

 昨年2月の上演中止が公演直前の決定だったので、仕方がないこととわかってはいても、やはり無念で。事実を受け入れるのにも少し時間がかかってしまったのですが、こうして一年後に公演できることになって。もちろんいつかは必ず上演するという強い思いを持ってはいましたが、中止当初は具体的なことは何も見えていない状態でしたので、いま形になり、皆様にお知らせができることが本当に嬉しいです。「お待たせしました」と言いますか、一年待っていて下さった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

──「『ミヤコレ』からの贈り物」という配信シリーズもされてきましたが、当初の予定から更に積み上がったものになるのでしょうか?

 そうですね。当時のお稽古がとてもタイトなスケジュールになっていましたし、内容が盛りだくさんで楽曲も多く、毎日振り付けが続いてとにかく一気呵成のパワーで行くぞ!という状況だったんです(笑)。そこからある意味時間が出来ましたので、もう一度自分が丁寧に作品に向き会える嬉しさもありましたし、おっしゃって下さったように配信も何回かさせていただいたことによって、皆様も少しずつ内容をお知りになって。今まではどんな舞台なのかがかなり謎だったと思うのですが(笑)、その片鱗が明かされたことによって、この一年間の歩みを皆様にも実感してもらえると思いますから、より楽しんで観ていただけるのではないかと思っています。

宝塚歌劇団時代にはお見せしたことがなかったものを

──改めてどういう内容になるかをお伺いしたいのですが。

 演出家の河原雅彦さんとの打ち合わせ段階から「ザ・コンサートというものにはしたくないですね」と話し合いました。河原さんご自身も音楽を中心にした公演の演出は初めてでいらして未知の世界ですし、私も宝塚歌劇団卒業後こういった形で上演するステージは初めてでしたから、1曲歌ってパフォーマンスが完結する、その連続で出来ていくものではなく、第一部は少しスートリー性も感じられ、メッセージ性もあるような、物語の導入から終わりまでに、ご覧になる皆様に「もしかしたらこういうメッセージがあったのかな?」をお伝えできるものにしたいと思いました。テーマ曲が「ミラー」といって、鏡の中の自分と鏡に相対している自分のどちらが真実なのかというような、自分と向き合う色々な意味の入った曲からスタートするので、ご覧なっている方にもご自分の心の中にリンクするものを感じていただけたらと。

拡大美弥るりか=宮川舞子 撮影

──物語性が強いということですね?

 そうですね。鏡の中に入った自分がさまよい続けていき、最後に何か感じるものがあるというコンセプトなので、行く先々の世界で皆さんに違う景色をご覧いただけますし、今回お衣装もすごく素敵で!

──それは楽しみですね!

 視覚としても面白く観ていただけると思いますし、次はこんな風にガラッと変わるのか!というワクワクする気持ちも感じてもらえたら嬉しいです。一方で第二部ではもう少しリラックスして、今、こういう状況ですから、コール&レスポンスという訳には残念ながらいきませんが、それでもご覧になっている皆様とコミュニケーションが取れるものになっていったらいいなと思っています。第一部はこちらから提示するもの、第二部は皆様に参加もしていただくもの、というような全く違うカラーのものになると面白いなと思っています。

──その構成は河原さんから提示されたものですか?

 私自身の希望もあったのですが、LIVEコンサートは既にいくつかしていたので、そのジャンルとは被らずに、観劇スタイルで楽しむひとつのエンターティメントとして観ていただきたいということがありました。また河原さんご自身もお芝居をいつも手がけていらっしゃる方ですから「何か心に残るものがあった方が面白いですよね」という方向にもなって。お互いに好きな音楽のジャンルの話もして、河原さんが音楽にもとても造詣の深い方でしたので、色々とおススメの曲も出して下さって。そうした打ち合わせを重ねていく中で、宝塚歌劇団時代にはあまりお見せしたことのなかった雰囲気のものにしたいという、お互いの気持ちが一致したのが良かったかなと思いますし、嬉しかったです。

──タイトルをコンサートやショーではなく「the wonder」となさったのも、そういう新たなものにという意図からですか?

 そうですね。今回のステージに関しては、既製のジャンルではなく、新たなとても面白いもの、「the wonder」な世界を皆様にご覧いただきたいという思いでつけられたタイトルです。

そんな動きはしたことがないと身体も驚いていた

拡大美弥るりか=宮川舞子 撮影

──河原さんの演出や、ご本人の印象についてはいかがですか?

 独特の空気感をお持ちなのですが、すごく優しくてまず私の意見を受け入れてから、ご自分の意見をおっしゃって下さる、一緒に作っているということを感じさせて下さる方です。宝塚時代は場面も曲も全て決まっていて、「皆さんが歌うのはこの曲です」「演じるのはこの役です」と提示されたものを受け入れるのが当然だったので「何がしたいですか?」と訊いていただいたのが初めてで! 「私がしたいことを言ってもいいんですか?」と(笑)、最初は恐る恐るだったのですが、河原さんが私からたくさんのものを引き出して下さいましたし、意見も尊重して下さって。でもご自身のこだわりも強くお持ちで、良くないと思われたらちゃんとそう言って下さるのも安心感につながりました。稽古場で皆をリラックスさせてくれる、緊張感を与えずに良いパフォーマンスができる空気を作って下さる、魅力的な方です。

──自分から発信することについてはいかがですか?

 ようやく慣れて来ました!(笑)。思えば、自分がやりたいことはなんなのか?に向き合ったことがなかったので「あなたは何がしたいの?」という、自分の中で眠っていたものを引き出すのに時間がかかりました。でもこれからは何よりもそれが大切になっていく、自分に他の人と違うどんな個性があるのか、また私の舞台を観たいと思って下さる方は、どんな部分が好きなのか?を深く探っていくのが、宝塚を卒業してから一番の課題になっているかなと思います。そうして考えていくと、意外とトータルで物事を考えるのは好きなのかなとも思えていて。私がいつも心にあるのは、客席の最前列センターに座っている方と、最後列の端に座っている方に同じ気持ちになって欲しいということなんです。両方の方に等しく「最高だった!」と言っていただく為にはどうしたらいいか?を常に考えて、演出の方はじめスタッフの方々とご相談しながら、場面の配置や衣装を総合的に考えるのが結構好きなんだと気づきました。

拡大美弥るりか=宮川舞子 撮影

──今回のステージも場面、場面でガラリと世界が変わるというお話でしたが、振付の方々も多彩な顔ぶれですね。

 第一部には5場面ほどあって、一つひとつが大きく異なるシーンになっていますが、振付の先生方、それぞれの得意ジャンルと言いますか「この先生だったらこういうものを踊ってみたいな」という希望が私の中にもありましたので、それもご相談しながら当てはめていただいていきました。また私にとっては「はじめまして」の先生もいらっしゃいましたので、そういう意味では凄く刺激的と言いますか、今まで受けたことがないようなジャンルの振付もありましたから必死でしたね。「そんな動きはしたことがない!」(笑)というものもあって。やはり今までは男役でしたので硬めのダンスが多くて、しなやかさや色っぽさのニュアンスで踊ったことがなかったので、ここは曲げたことがないというような感じで身体も驚いていました(笑)。でもそういう意味では、皆様のカラーが全く違っていたので、物語世界は続いていますが、ひと場面ごとの切り替えはすごくハッキリしているのではないかな?と思います。

──では新しい美弥さんの表情も色々と拝見できるのですね?

 良い意味での意外性や驚きを、皆様に感じていただけたら嬉しいです。

全ての回を楽しんでもらえるゲストとのコラボ

拡大美弥るりか=宮川舞子 撮影

──日替わりゲストの方々も大変豪華ですが、ゲストさんによって場面も異なってくるのですか?

 そうです。皆さんそれぞれとコラボする場面があるので、この方とだったら是非これがやってみたい! という希望を叶えて頂いた場面になっています。私からお願いしたものもありますし、先方から「これはどうでしょう?」というご提案を頂いたものもありますので、日によって色々と楽しんで頂けると思います。

──ゲストの皆さんそれぞれ、美弥さんからご覧になった印象は?

 東山義久さんとは宝塚時代からご縁があって、お互いの舞台を観ていたのですが、東山さんの舞台には東山さんにしか出せないオーラや余韻があり、唯一無二の魅力がある方だという印象を持っていました。でもお話をさせて頂くととても気さくで面白い方で、そのギャップがまた素敵なので、是非トークもさせて頂きたいなと思っています。何より東山さんのダンスが大好きで、近くで拝見したら思っていた以上に曲線の動きが素晴らしくて、見入ってしまったほどなので、ダンスでコラボができたらと思っています。

 伊礼彼方さんは私が一方的に舞台を観ていて、リアル王子というのか、端正さに圧倒されていました。特に初めて拝見したのが『王家に捧ぐ歌』のラダメス役で、元々宝塚歌劇で初演した作品で私も出演していましたから「本当の男性でこんなにラダメスが似合う人がいるんだ!」という驚きの印象がとても強かったんです。でもお話させていただくと伊礼さんもすごく面白い方ですし、歌稽古をさせていただいたら素晴らしい声量で、大変な刺激を受けましたので、またご一緒できることが嬉しいです。

 そして平方元基さんとは、昨年の8月にシアタークリエの舞台『SHOW -ISMS』でご一緒させていただきましたが、やはりその前から舞台は拝見していましたし、お稽古場で平方さんがお芝居をされるところを見ていたら、同じ出演者なのに大感動したんです!ミュージカルって芝居と歌がこうして奇跡のように一致しているから、人の心にこんなにも響くんだ、ということを平方さんから感じたので、すごく尊敬していますし、ご一緒できたことで本当に勉強にもなりました。ですから昨年出演して下さることが決まっていた吉野圭吾さんのスケジュールが合わなかったのはとても残念でしたが、平方さんにゲストとして来て頂けることになったのが嬉しいです。

──それは是非全ての回を拝見したくなります!

 きっとどの回も楽しんでいただけると思います。平方さんもとても明るく面白い方で、お三方共にお話も面白いという共通点もありますから、皆さんとのトークも期待していただきたいです。

2021年に上演するからこその深まったステージを!

拡大美弥るりか=宮川舞子 撮影

──昨年の公演がコロナ禍で中止を余儀なくされた訳ですが、今日までの間舞台芸術についてどうお考えになりましたか?

 おそらく舞台に携わっている人皆が考えたことだと思いますが、お客様の前で舞台に立って、共に時間と空間を共有する、当たり前だと思っていたことが突然断ち切られた瞬間は、自分が何もできなくなった、こんな大変な時期に誰の役にも立てないんだ、という思いにもなりました。でも良い意味でもう一度舞台に立つことを見つめ直す時間になりましたし、表現することに対しても改めて考え直して、そこから自分が何をしたいのか?が、最後に残った期間だったと思います。

──その最後に残ったものを言葉にしていただくとすると?

 ある意味で芸事を越えて、自分自身の存在そのもので誰かに喜んでいただけるようになりたいと思ったんです。もちろん芝居、ダンス、歌と芸事を磨くことも大切ですが、それだけではなくて、自分の人生をより豊かに生きることで、表現できることも豊かになり厚みを増していく。皆様が簡単に観劇に行くことができなくなったからこそ、自分自身の魂や、生き方を磨いて、貴重な1回の舞台の中に、観て下さる方の充実度や幸福感を届けられる人で在りたいと思いました。

 特に宝塚時代はまず団体美があって、あくまでも列を揃えた中で如何に自分の芸名をプロデュースできるか? だったのですが、今は一人ですし、特に舞台を観にいくこと自体に勇気がいる状態になったからこそ、それを乗り越えて観に来て下さる方がいらっしゃることの重さを感じています。だからこそ「想像していたよりも何倍も面白かった!」と思っていただけるものをお届けしなければと思いますし、その為にはアンテナをたくさん張って自分が発信できるものを増やし、エンターティメントの世界の変化に置いていかれないようにしたいです。

──その思いが今回のステージにも反映されるのですね?

 そうですね。1回、1回の舞台をもっと深めたい、もっと突き詰めていきたいと思っていますし、その為の1年間だったという気持ちで向き合っていきますので、2021年に上演できるステージになったからこそのものをお届けしたいです。きっと面白い、新しいエンターティメントと思っていただけるものに仕上げますから、是非観にいらして下さい!

◆公演情報◆
the wonder『MIYA COLLECTION』
大阪:2021年2月19日(金)〜2月21日(日) 梅田芸術劇場メインホール
東京:2021年2月25日(木)〜2月28日(日) 日本青年館ホール
オフィシャルサイト
[スタッフ]
演出:河原雅彦
振付:大澄賢也、KAORIalive、桜木涼介、港ゆりか
[出演]
美弥るりか 仙名彩世 ほか
ゲスト:東山義久 平方元基 伊礼彼方

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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