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【公演評】星組『ロミオとジュリエット』

研2で始まった礼真琴とロミジュリの歴史――心技体が充実する今、再びロミオに挑む

さかせがわ猫丸 フリーライター


 星組公演三井住友VISAカードミュージカル『ロミオとジュリエット』が、2月14日、宝塚大劇場で初日を迎えました。シェイクスピアの純愛物語をもとにしたこのフレンチロック・ミュージカルは、2001年にフランスで生まれ、宝塚では2010年に星組で梅田芸術劇場に日本初上陸。以来、雪組、月組、星組と4度の上演を重ね、いずれも大好評を博しました。

 8年の時を経て、待望の再演を担うのは、礼真琴さん率いる星組です。礼さんは2010年の初演時、研2で愛に抜擢され、2013年大劇場公演ではベンヴォーリオと愛の役替わり、その新人公演でロミオをつとめました。そして、心技体が充実するトップスターとなった今、満を持して再びロミオを演じます。相手役の舞空瞳さんもジュリエットのイメージにふさわしく、まさに時が2人を待っていたのかもしれません。(以下、ネタバレがあります)

実力の全てで魅了する礼ロミオ

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 開演前の幕に浮かぶのは、ハートマークとロミオとジュリエットの文字。客席のスマホが一斉に持ちあがる様子に、この作品への期待感が伝わってくるようです。

 オープニングは初演時から変わらず、英真なおきさんのナレーションから。愛が踊るあたたかな世界から一転、現れるのは憎しみと暴力が渦巻く街ヴェローナ。赤と青にカラーがくっきり分かれた両家の若者たちがぶつかりあうナンバーに、さっそく血沸き肉踊ります。

――イタリア・ヴェローナでは、モンタギュー家とキャピュレット家が何代にもわたって争っていた。ティボルト(愛月ひかる)率いるキャピュレット側と、ベンヴォーリオ(瀬央ゆりあ)とマーキューシオ(極美慎)率いるモンタギュー側の若者たちをも巻き込んだ対立は、ヴェローナ公(輝咲玲央)でさえ抑えられず、常に一触即発状態だ。そんな中、争いを好まないモンタギュー家の息子ロミオ(礼)は理想の恋人を追い求め、キャピュレット家の娘ジュリエット(舞空)もまた、いつか出会う恋人を夢見ていた。

 ファンの間では、新人公演で主演した役はトップで再び演じるというジンクスがまことしやかにささやかれているとか。礼さんも見事、ロミオがその法則にはまりました。8年の時を経ても、さわやかでロミオらしいイメージは変わらず。新人公演では若い素のままで役にぶつかっていましたが、今は培ってきた演技力で自然にロミオ像を作り上げていて、そんな成長もみどころとなっています。

 しかし何より、ジェラール・プレスギュルヴィック氏の世界観を情感豊かに表現する礼さんの歌唱力こそ、この作品の醍醐味でしょう。仲間を率いて弾ける「世界の王」から一転、死の影に怯える「僕は怖い」、ジュリエットと歌うロマンチックな「いつか」「バルコニー」「エメ」など名曲の数々が、礼さんの深く甘い歌声にかかると、大きな感動が何倍にもふくらみ、胸を揺さぶります。もちろんダンスシーンも見ごたえ抜群なのは言うまでもありません。歌・ダンス・演技の全てで客席を魅了する礼さんの実力は、海外ミュージカルでこそ最大に発揮されるのでした。

◆公演情報◆
三井住友VISAカード ミュージカル『ロミオとジュリエット』
Roméo & Juliette
Le spectacle musical de GÉRARD PRESGURVIC
D’après l’œuvre de WILLIAM SHAKESPEARE
2021年2月14日(日)~3月29日(月) 宝塚大劇場
2021年4月16日(金)~5月23日(日) 東京宝塚劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
原作/ウィリアム・シェイクスピア
作/ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出/小池修一郎
演出/稲葉太地

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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