「私たち世代の聖子さん」を腹を括って応援するしかない
2021年02月21日
私たちの世代には、代表的な二人の「聖子さん」がいる。一人は松田聖子さん、そしてもう一人が今や時の人となった橋本聖子さんである。
1980年代、彼女が現役のスピードスケート選手として大活躍していた頃、新聞などで「聖子~~」というタイトルを見ると「松田聖子? ああ~橋本聖子ね」と何度も二人のイメージが頭の中を行ったりきたりしたものだ。自転車競技でもオリンピック代表になり、冬夏両方に出場!など、話題になることが多いスポーツ界の聖子さんだった。
その橋本聖子さんが森喜朗氏の後任に決まった。就任会見をテレビで見ながら、私の頭には「Victim(犠牲者)」という言葉が一瞬過(よ)ぎった。
言葉を選びながら、時には涙を浮かべながら話をするその姿はかつて氷上で活き活きと滑っていた頃の聖子さんとは別人のようだった。コロナ禍の折、マスクをしなければならないことが今回の彼女には助け船になったようにすら見えた。下は顎がすっぽり隠れるほどに、上は目元ギリギリまでマスクで顔を隠すことでなるべく表情を読み取られないようにすることができたからだ。
彼女が東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長として、今夏の開催に向けて準備していくのは、今の世論で中止を求める声も聞かれている中において茨の道であることは火を見るより明らかだ。その大役を彼女は仰せつかった。
2月3日の森氏の失言問題から、わずか2週間余の大展開。この間に起きた様々な出来事も、一般人の私たちには???の連続であった。私の周辺でも聞かれていたいくつかの疑問をここに提示してみたい。
会長に橋本氏が決まるまでのプロセスは「透明性を担保する」と関係者から言われつつも、正式決定の前に「橋本氏に一本化の見通し」など各種報道が流れていた。その前の川淵三郎氏のときも、決定する前からご本人までもが取材に応じて様々に語る様子を目にしたが、今回もまた、どこからともなく情報は漏れてくるのだと思えた。
まさか情報を事前に漏らすことが「透明性」ではないだろう。かと言って、会長を選考するための委員会は立ち上げられたものの、当初は誰がメンバーかも公表されず、話し合いの内容も非公開で、どこを指して「透明性」と言っていたのか、未だによくわからない。
おそらく、適切に表現するならば、透明性とは「意思決定プロセスの公平性」だったのではないだろうか、と今振り返ってそう思える。
私もそうだがこの組織委員会とはいったい誰で構成されているのか、
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