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橋本聖子、丸川珠代「わきまえている女性認定済み」人事がリアルで暗くなる

矢部万紀子 コラムニスト

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の後任が、橋本聖子さんに決まった。橋本さんは男女共同参画、東京五輪・パラリンピック、女性活躍担当大臣を辞任、後任には丸川珠代さんが起用された。

 という2月18日の2件の人事を見ていて、まるで自分の勤めている会社で発表された人事を見たような気持ちになってしまった。結果、心が晴れない。正直、森さんの女性蔑視発言を聞いたときより、ずっと暗い。

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長(左)と丸川珠代五輪相。この人事が意味するものは……拡大東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長(左)と丸川珠代五輪相。この人事が意味するものは……

 2月3日、森さんの「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」から始まった今回の事態、4日の逆ギレ謝罪会見から日を追うごとにトホホ感が増していった。あきれた。脱力した。それに比べ、この人事、重い。少し振り返ってみる。

<2月5日> JOC(日本オリンピック委員会)の山下泰裕会長が会見、臨時評議員会での森発言について、「40分近く話された中で、(女性蔑視と)指摘する機を逸した」と述べた。1人で40分。時間がかかるのは、森さん、あなたじゃないですか。

<2月11日> 森さんが周囲に辞意を伝え、川淵三郎さんに後任を要請。川淵さんはやる気ありで、「森相談役」(本人了承済み)を記者に語る。83歳が84歳につないで、83歳は残留。双六でいったら「振り出しに戻る」。

<2月12日> 組織委員会の臨時懇談会で森さん辞意表明。川淵さん後任辞退。会長候補者検討委員会設置、座長は御手洗冨士夫・組織委員会名誉会長。御手洗さん、85歳。登場人物の年齢が1歳ずつ上がる。

<2月16日> 二階俊博自民党幹事長が、総務会など幹部会議に女性議員をオブザーバーとして出席させる考えを示す。党会議後の会見で「どういう議論がなされておるか。それをご覧に入れようということだ」と説明。女子は見学。戦前感満載。

 ちなみに二階さんは2月17日が82歳の誕生日。二階(82)→森(83)→川淵(84)→御手洗(85)。バトンつながる、パチパチパチ。

 などと、からかえたのはここまで。橋本会長、丸川大臣の人事が18日に発令されてからは、そういう気持ちにならなくなった。「やっぱりねー」と思ったのだ。やっぱり選ばれるのは、こういう女性だよねー、と。冒頭で、まるで自分の勤めている会社の人事を見たような気持ちと書いたのはそのこと。自分のことは、からかえない。


筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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