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「黒染め強要」の合法判決があまりに時代錯誤だった

自己表現より従属性を重んじる校則はもうやめましょう

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

裁判所が「循環論法」という詭弁を弄してしまっている

 それにもかかわらず、その校則が「社会通念に照らして合理性」があるとされるならば、校則を変える余地はなくなります。つまり、「校則が社会通念を作った」のに、「社会通念に即しているから校則は変えなくてよい」というのは、「循環論法」です。裁判所が論理学上の詭弁を弄してしまっているのです。

 これは、女性だけにヒールやメイクを強要する等、職場での性差別的な服務規程と全く同じ構造です。男性優位社会が定めた服務規程が社会通念として定着したという経緯があるにもかかわらず、「性差別をやめて欲しい」という声が、「社会通念だから」という理由で潰されています。

 このように、「社会通念」というカードを繰り出せば、循環論法に陥るだけで、「変える機会を与えません」「自由を奪う側の味方をしますよ」という意味にしかなり得ません。公正であるべき裁判所がしてはならない判断のように思うのです。

Rob Hyrons拡大Rob Hyrons/Shutterstock.com

勉学の楽しさを伝えられない非力を染毛のせいにしている

 次に、「頭髪に関する校則は、生徒の関心を勉学やスポーツに向けさせ、非行防止等につなげるものであり、教育目的に基づく」という府側の主張や、判決が「華美な頭髪、服装等を制限することで生徒に対して学習や運動等に注力させ、非行行動を防止する」と結論付けたことも、ナンセンスだと思います。

 ゲームのやり過ぎ等とは異なり、髪を染めるのは通常何時間もかかりませんから、学習や運動と両立することは十分に可能です。染毛が学習や運動等の関心を削ぐという因果関係はどこにもないはずです。実際、麻布高校、女子学院、神戸女学院等、名だたる進学校で染毛を禁止していない学校は多々あります。

 百歩譲って、染毛等に熱心で、勉学やスポーツに関心を持てない生徒がいたとしましょう。では、

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

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