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田代万里生取材会レポート、ミュージカル『マリー・アントワネット』大阪公演が開幕!

一番のテーマは、過去から何を学ぶか、どうやって前へ進んでいくか

真名子陽子 ライター、エディター


 ミュージカル『マリー・アントワネット』の大阪公演が3月2日に開幕します(梅田芸術劇場メインホールにて、11日まで)。

 『エリザベート』『モーツァルト!』などの傑作を生み出したミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)&シルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)が手掛けた日本発のオリジナルミュージカルで、同じ“MA”の名を持つ王妃マリー・アントワネットと庶民の娘マルグリット・アルノー、2人の運命がフランス革命の嵐の中で交錯し、マリーとスウェーデン貴族のフェルセンとの悲恋を美しく描きます。

 2006年に日本で初演された後、ドイツ・韓国・ハンガリーで上演。2018年には新曲を追加した新バージョンが日本で上演されました。2018年の新バージョンでフェルセン伯爵役を演じ、引き続き今作でも同役を演じる田代万里生の取材会が大阪で行われ、意気込みを語りました。

リーヴァイさんが僕の声に合ったメロディを選んでくれた

拡大田代万里生=久保秀臣 撮影

記者:2018年の公演を振り返ってみて、印象に残っていることはありますか?

田代:2018年に上演されたのはロバート・ヨハンソンさんの改訂版で、フェルセン伯爵が回想しながら物語が進んでいく脚本になりました。それに伴ってフェルセンのナンバーが増えたんです。当時、シルヴェスター・リーヴァイさんが稽古場にも来てくださり、韓国ではすでに新バージョンを上演していたのですが、まだまだ改訂している途中で、リーヴァイさんもその場で書き換えたりされていました。

 フェルセンが歌う「遠い稲妻」という曲があるのですが、キーをどうしようかと迷っていらしたんです。「万里生、歌ってみてくれ」と言われ、目の前で歌いながらいろんなキーを試したり、最後の歌い上げをどういう風に終わらせようかと3、4種類のフレーズを掲示されたり。最後にはオケ合わせの段階で試して、リーヴァイさんが僕の声に合ったメロディを選んでくれました。リーヴァイさんのような方と一緒にお稽古場にいられたことや、僕の声を聞いてリーヴァイさんが音楽的なアイデアをキャッチしてくださったことがすごくうれしかったです。僕が歌ったことで、100年後もこのフレーズのままかもしれないと思うと、とてもロマンがありますよね。

記者:実際に歌われて心地良かったですか?

田代:いえ、心地良いという感覚ではないんです。なぜかというとフェルセンは常に自制していて、発散する人物ではないんです。

記者:反対に難しい役だった?

田代:そうですね、感情を表に出して熱演すれば良い役ではないので、そのバランスはとても難しかったです。歌うという技術も難しいですし、演じるという意味でも難しかったです。

わいてくる新しい感情を大切に

拡大田代万里生=久保秀臣 撮影

記者:改めてこの作品の魅力をどう感じていますか?

田代:エンディングで歌う「どうすれば世界は」というナンバーがあるんですが、この楽曲を入れるか否かで、ヨハンソンさんとディスカッションがあったんです。くどいんじゃないかとか、反対に必要なんじゃないか……キャストからもいろんな意見が出ました。僕は必要だと思っていて、この曲の最後にフェルセンが「学べるか、過去に」とひと声投じるんですけれども、それをフェルセンだけでなく田代万里生として、そして舞台上にいるみんなでこれを投げかけようと、2018年は一丸となってお届けしました。そして今、この世界情勢の中で上演されます。この作品はフランス革命を題材にしていますが、どの時代においても過去から何を学ぶか、そしてどうやって前へ進んでいくか、が作品の一番大きなテーマだと僕は思っています。

記者:前回から演じ方を変えてみようといったようなプランはありますか?

田代:変えようとは敢えて思わないようにしています。やはり変えようとすると「前はこうだった、こうした」から始まってしまうんです。3年ぶりの上演で、その間にいろんな役を経験しましたし、僕自身も人生経験を積んでいますので、楽譜や台本を見てわいてくる新しい感情を大切に、また新しいキャストの方もいらっしゃいますので、初演のようなまっさらな気持ちで取り組みたいと思います。

拡大田代万里生=久保秀臣 撮影

記者:フェルセン伯爵は田代さんのイメージに合っている役だと思うのですが、そういうイメージを裏切りたいといった思いはあるのでしょうか?

田代:裏切りたいという思いはなく、あまり自分でイメージを決めないようにしようと思っています。今までの経験の中で思うことは、自分では出せない自分ってたくさんあるんですよね。この演出家さんと一緒なら自分では知らなかったこういうところが出せる、といったような。得意なものだけで勝負しようとは思わないし、反対にないものを出そうとも思わない。そうではなくて、目の前のことに必死で向き合うことで、僕の中から必然的に出てくるものが大事だと思っています。

フェルセン、想像ができないほど壮絶な人生だったと思う

拡大田代万里生=久保秀臣 撮影

記者:フェルセンにとってマルグリットはどういう存在ですか?

田代:そこが一番難しいんですよ。マルグリット役の二人ともよく話をしたのですが、作品の中で唯一架空の人物なので演出家も決めこまないで、僕たちに託しているところがあるんです。マルグリットはフェルセンのことをどう思っているのか、恋心があるのかないのか……すごくグレーゾーンなので敢えて明言は避けたいと思います(笑)。僕自身も気になるところなんです。演じる二人も、今回は好きな感情が出てきたとか、今日は恋心じゃないけれども何かシンパシーを感じたとか、そんな微妙で繊細な難しさがあります。

記者:演出家からも明確な回答はないんですね。

田代:そうなんです、決まっていないんです。ただ、どうなんだろう? どう思っているんだろう? と思いながらフェルセンを演じるのが一番良いと思っています。その日、目の前にいるマルグリットの目を見て動いていきたいと思っています。

記者:フェルセンの生涯についてどう思いますか?

田代:彼は生涯独身だったと言われていて、フェルセンがマリー・アントワネットを愛していたのは本当だと思いますし、二人は精神的につながっていたんだと思います。フランス革命の後、民衆に不信感を持ち、民衆を嫌い、そしてフェルセンの最期を思うと想像ができないほど壮絶な人生だったと思います。マリー・アントワネットが亡くなった後、十数年生きましたけれども、ずっと彼女を思っていたんじゃないかなと思います。

拡大田代万里生=久保秀臣 撮影

記者:では最後にメッセージをお願いします。

田代:2018年の公演では、東京と福岡公演に出演させて頂き、大阪では演じられなかったのですが、今回は梅田芸術劇場メインホールでフェルセンを演じさせて頂きます。Wキャストの甲斐翔真くんとはひと回り以上年齢が離れているんですけれども、影響を受けることもたくさんあると思います。この3年間で様々な情勢が変わりました。見る方も演じる僕らも、この作品に対する見方や演じ方がまったく変わっていると思います。是非劇場で、同じ場所同じ時にこの作品を共有して、エンターテインメント、音楽、演劇、そして過去から何を学べるかを一緒に体感したいなと思っています。

◆公演情報◆
ミュージカル『マリー・アントワネット』
遠藤周作原作「王妃マリー・アントワネット」より
大阪:2021年3月2日(火)~3月11日(木) 梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出:ロバート・ヨハンソン 遠藤周作原作「王妃マリー・アントワネット」より
[出演]
花總まり/笹本玲奈(Wキャスト)、ソニン/昆 夏美(Wキャスト)、 /甲斐翔真(Wキャスト)、上原理生/小野田龍之介(Wキャスト)、原田優一、駒田 一、彩吹真央、彩乃かなみ ほか

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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