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「障害者」ではなく「しょうがい者」と記そう

「碍」の常用漢字化には賛成できない

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

 本年2月26日、文化審議会 (*)国語分科会の国語課題小委員会は、「障害」の代わりに提案されている「障碍」の「碍」の字を、「直ちに〔常用漢字表に〕追加することはしない」という見解を示した(朝日新聞2021年2月27日付)。直前に、川内博史衆議院議員(立憲民主党)が予算委員会で同提案を行った後のことだけに(同2月20日付)、注目を集めるなかでの判断だった(*後述する理由で、ここはあえて「分かち書き」にした)。

「害」にこめられる意味

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 「害」には私も違和感がある。実際に「障がい者」からそうした想いを聞いたこともある。害は「益」、「利」に相反する言葉で、「悪い結果や影響を及ぼす物事」(小学館『大辞泉』)の意である。

 実際周囲から、「障がい」は悪い結果や影響をおよぼすと――多くの場合、同情からとはいえ――見なされる傾向が大きいだろう。だがそのことと、実際に結果・影響を、ひいては障がい自体を「悪い」と認識・意識することは、別の事柄である。

 「障がい者」やその家族は、「障がい」の現実をそのまま受け入れて、それを特別なこと(ましてや特別な害悪)ではなく普通のことだと解して生きる、あるいは生きるようはげますというが、確かに「害」には、そのように前向きに生きる可能性を、せばめてしまう怖さがある。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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