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【ヅカナビ】宝塚音楽学校第107期 文化祭

その溌剌とした表情に舞台に立てる喜びがあふれる

中本千晶 演劇ジャーナリスト


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 とても幸運なことに、2月26〜28日に宝塚バウホールにて開催された宝塚音楽学校第107期の文化祭を観ることができた。

 「文化祭」は、毎年2月、宝塚音楽学校の本科生が2年間の学びの成果を披露する場だ。コロナ禍で音楽学校もまた臨時休校を余儀なくされ、リモート授業も行われたというが、その舞台は例年と比べてもまったく遜色なく、その溌剌とした表情からは舞台に立てる喜びがあふれんばかりに伝わってきた。

 そこで、今年もその様子をお伝えすると同時に、今、注目の若手スターの「文化祭の頃」も振り返ってみたいと思う。

劇場入り口に粛々とした空気が戻った

 今年の文化祭は、兵庫県にも発令された緊急事態宣言下での開催となったため座席数は半減。1席置きに人が座る客席となった。

 予科生(1年生)が行うプログラムの販売や会場への案内なども一切なし。ここ数年は生徒との写真撮影を所望する観客もいて、劇場入り口からすでに華やいだ雰囲気が目立ったが、今年は静かだ。ただ、本来これは学校行事なのだから、粛々とした空気が戻ったのは個人的には良かったのではないかと思う。

 文化祭の舞台は3部構成の2時間半。第1部では歌を、第2部ではお芝居を、第3部ではダンスをそれぞれ披露する。

 第1部は制服である緑の袴を身につけての日本舞踊「清く正しく美しく」で幕を開け、予科生の合唱2曲の後、歌の得意な人2名がオペラの楽曲を歌う「クラシック・ヴォーカル」、タカラヅカの名曲メドレー「ポピュラー・ボーカル」と続く。最後の一曲「この愛よ永遠に(TAKARAZUKA FOREVER)」では客席から自然と温かい拍手が沸き起こった。

 第2部の演劇は正塚晴彦脚本・演出による『A MONOLOGUE Vol.Ⅳ』。A・B2組に分かれての上演となる。私が観た回はA組だった。

 舞台は中世のヨーロッパ。伯爵家の子息ロベール(A山本麻里名・B吉村愛奈)は、領内の旅籠屋の娘フラウ(A西村あみ・B門間さや香)と恋に落ち、二人は結婚を約束する。ところがロベールに王女との結婚話が持ち上がり、二人は引き裂かれることに。さらに、財政難の王家は「ロベールが旅籠屋の娘と恋仲となって王女を侮辱した」との言いがかりをつけて伯爵領を乗っ取ろうと目論む。申し開きをするため王家を訪ねた伯爵は殺害され、ロベールも敵に囲まれたところで幕となる。

 そして、第3部はダンスコンサート。幕開けのジャズダンスは黒地にキラキラとした飾りを施した衣装。よく見ると一人ひとりの個性に合わせた装飾となっている。そして、クラシックバレエ、黒猫のようにしなやかに踊るモダンバレエ、華やかなタップダンス、ストーリー性のあるジャズダンスと続き、フィナーレは元気いっぱいの総踊りで幕となる。2年間の学びの成果として様々なジャンルのダンスを見せつつ、ショーアップもされた見応えのあるものだった。

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筆者

中本千晶

中本千晶(なかもと・ちあき) 演劇ジャーナリスト

山口県出身。東京大学法学部卒業後、株式会社リクルート勤務を経て独立。ミュージカル・2.5次元から古典芸能まで広く目を向け、舞台芸術の「今」をウォッチ。とくに宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で分析し続けている。主著に『タカラヅカの解剖図館』(エクスナレッジ )、『なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか』『宝塚歌劇に誘(いざな)う7つの扉』(東京堂出版)、『鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡』(ポプラ新書)など。早稲田大学非常勤講師。

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