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 先日、日本でメガヒットした『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を、韓国の映画館で観ました。

 韓国に再び生活し早7年。韓国でも日本の映画やアニメが映画館でも見られるようになりました。

 しかし、私が学生の時の韓国では、ありえないこと。芸術倫理協会みたいなところで、日本モノは何もかもアウトだったのです。けど、なぜかテレビでは『マジンガーZ』とか、『魔法使いサリー』、『銀河鉄道999』は放映していました。これらはみんな日本モノとは知っていましたが、あまりにも人気があって面白かったからでしょう。暗黙の了解みたいな感覚で、放送してたみたい。

 なので韓国の40、50代の人たちは、日本のアニメで、マジンガーZやキャンディ♡キャンディ、サリーちゃん、銀河鉄道999、ドラゴンボール、スラムダンクなんか良く知っています。

韓国の映画館に貼られた『鬼滅の刃』のポスター=撮影・筆者拡大韓国の映画館に貼られた『鬼滅の刃』のポスター=撮影・筆者
 で、『鬼滅の刃』を韓国の映画館に見に行ったのですが、私は韓国の映画館で日本のアニメを見るのは3回目。『君の名は。』、『天気の子』、『鬼滅の刃』。どれも満員でした。さすがに今回はコロナの防疫対策で客席の3分の1しか入れてませんでした。

 私は小学3年になる末っ子と一緒に見に行きました。もちろん音声は日本語で韓国語字幕です。

 韓国語字幕があって日本語で見るのが一番楽しいです。高校からこちらに来ているので、私の韓国語は普段はそう不便を感じることがないのですが、討論などの場面ではもどかしさを感じることがあります。もともと議論好きではないというか、理詰めで攻める議論は苦手です。そんな私が、唯一優越感をもつことのできる時間。それが韓国で観る日本の映画!

 最近は、また反日感情とかで色々大変で、ユニクロとかに入るのもなぜか気を遣ってしまっている昨今。字幕がなんか違うなあ、なんて思ったりして、娘とアイコンタクト。何せその映画館ではそれは私たちしか分からないのですから。でも、おそらく英語が上手な人たちは、常にそんな感じなのかな、なんて思ったりして。

文化というものが伝播していく瞬間

 鬼滅の刃が、韓国ではどうなのか?

 好きな人はむっちゃ好きです。マニアさんですね。なので、鬼滅の刃の認知度はそう高くありません。TVでは放映していないし、マンガの単行本も日本ほどは見ません。アニメファンの人たちは、ネットやケーブルなんかで観るのが主流です。

 映画館は若いカップルが多く、終わった後に聞こえてくる会話は、女性の

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筆者

ミン・ヨンチ

ミン・ヨンチ(閔 栄治) ミュージシャン 韓国伝統音楽家

大阪生まれ。幼少の頃からブラスバンドやドラムを経験し、高校から韓国へ。旧李王朝雅楽部養成所であった国立国楽高等学校に入学、ソウル大学音楽学部国楽科卒。1992年サムルノリ競演大会個人部最優秀賞。1992年国楽室内管弦楽団「スルギドゥン」に入団。1993年スーパー・パーカッション・グループ「PURI」創団メンバー。イ・ムンセ(歌手)のテレビ番組にも出演。現在も韓国伝統音楽とジャンルの違う音楽とのコラボレーションに活動中で、2009年に立ち上げた公演「新韓楽」ではジャズとコラボ―レーションした。日韓両国で数多くの公演。アルバム「HANA」(2015年/ユニバーサルミュージック・ジャパン)をリリース。ライブでは日本全国3万人を動員。国楽管弦楽の作曲にも力を入れ、2014年韓国文化芸術委員会で作曲賞受賞。「大衆に楽しんで聞いてもらえる楽曲作り」を目指す。現在、韓国芸術総合大学、梨花女子大学、秋藝芸術大学講師。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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